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CBREが2030年の不動産マーケットを予測した特別レポート「人・テクノロジー・環境が変える不動産の未来」を発表

CBREは本日、特別レポート「人・テクノロジー・環境が変える不動産の未来」を発表。オフィス、物流施設、リテール、ホテル、データセンターの各セクター、そして不動産投資市場全般について、「人」、「環境」、「テクノロジー」の3つのキーワードで、今後10年間で不動産市場がどのように変化するかを考察しました。

2020 年 01 月 23 日

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マーケティング&コミュニケーション

CBRE(日本本社:東京都千代田区丸の内)は本日、特別レポート「人・テクノロジー・環境が変える不動産の未来」を発表しました。当レポートは、オフィス、物流施設、リテール、ホテル、データセンターの各セクター、そして不動産投資市場全般について、「人」、「環境」、「テクノロジー」の3つのキーワードで、今後10年間で不動産市場がどのように変化するかを考察したものです。

 

【主要ポイント】
■オフィス

従前はオフィスに従業員が合わせていましたが、これからはオフィスを従業員に合わせることが主流になると推測されます。

まずはオフィス立地の分散化が進むことが考えられます。これを促すのは、①オフィスワーカーの世代の多様化、②向こう10年の間に都内で計画されているインフラ整備、そして③遠隔地間のコミュニケーションをよりスムーズにするテクノロジーの普及です。

また、AI、IoTの普及は、個人個人にとっての最適なオフィス環境の実現にもつながり、ビルオーナーにとっての第一義的な顧客はもはやテナント企業ではなく、オフィス内で働く一人ひとりの従業員になるでしょう。

持続性に対する関心が高まる中、企業がオフィスを選ぶ際にも、今後は環境性という要素の優先度が上昇することが予想されます。また、オフィス利用者の環境意識の変化は、オフィスビルのオーナーにとっても環境への配慮が収益性の向上につながることを示唆しています。

 

■リテール
グリーンコンシューマーと呼ばれる消費者の増加は、リテーラーの店舗選択における変化を促すと考えられます。環境性能の高いことが店舗の付加価値となり、ブランドの出店ニーズが集まることで賃料水準の上昇にもつながると予想されます。

Eコマースの拡大が続く中、実店舗の意義が疑問視されるようになってきました。しかしCBREでは、今後も実店舗は進化こそすれ、衰退することはないと考えます。しかし逆に言えば、実店舗の今後の存続・拡大にとって、進化は不可欠とも言えます。

実店舗の進化を促すものとしては、人口減少、高齢化や「ミレニアル」、「Z世代」の台頭による顧客層の変化(あるいは顧客の価値観の変化)、そしてテクノロジーが挙げられます。まず、リテーラー同士の統合やアライアンスを契機とした店舗の再編が増加することが予想されます。また、高付加価値の商品・サービスの提供や、エンターテインメント性の向上なども、実店舗を運営する上でますます重要なファクターとなると考えられます。

テクノロジー面では、VR(Virtual Reality)やAR(Augmented Reality)を使って商品の試着や試乗のほか、エンターテインメント性の高いサービスの提供をおこなっている小売企業が既にみられています。これらに加えて、今後はMR(Mixed Reality)の導入も実店舗のあり方をさらに大きく変えることになるでしょう。

 

■物流
EC化率のさらなる上昇とともに、最新型の物流施設に対するニーズは今後も拡大が見込まれます。特に今後は、女性の就業人口の増加ならびに高齢化が、食品類の宅配の増加を促すと推測されます。それにより、冷蔵・冷凍倉庫の増加のみならず、場合によっては厨房設備を併設した倉庫の登場も考えられます。

特に、生鮮品の宅配が増えることで、消費者の居住エリアに近接していることが倉庫の要件としてさらに重視されると考えられます。このことは、小規模でも住宅地に近い、いわゆる「ラストマイル倉庫」のニーズがさらに高まることを示唆しています。一方、都心や住宅地/消費地から距離のある立地では、規模の大きさや相対的に低い賃料水準などを利点として、ロボット化・自動化の進んだ最新型の物流センターが一般化すると考えられます。

2030年の東京では、築50年以上の倉庫の比率が30%を超えると推計されます。これまでは老朽化した物件も現役で使われてきました。しかし環境意識が高まる中、今後は老朽化物件の建て替えが促進されることが推測されます。また、ESG評価の向上を目指すテナント企業の増加は、築浅であるだけでなく、環境性能の高さもまた物流施設の競争力を左右するようになることを示唆しています。

 

■ホテル
供給の増加が懸念されるホテルマーケットですが、向こう10年間でみて供給は過剰にはならないと考えられます。中長期的なインバウンド需要の拡大には、既存ストックのホテルでは量的にも質的にも対応しきれません。

テクノロジーの活用は、省力化対応に資するにとどまりません。負担の軽減された労働力を、ゲストへのきめ細かなサービスに振り向けることで、満足度は向上し、満足度の向上はRevPARの向上につながると考えられます。

宿泊者の国籍や価値観のさらなる多様化は、ホテルの選び方にも影響すると推測されます。ホテルの環境に対する取り組みがスコア化され、あるいは宿泊施設の国際環境認証制度の認知が進めば、ホテル選びの新たな基準となると考えられます。

 

■データセンター
AI、IoTの普及、そしてビッグデータの利用の拡大がデータトラフィックの急増を招くことは言うまでもありません。それを支えるデータセンターは、電気、ガス、水道、公共交通機関等と同じような社会インフラとして、ますます重要性を高めることになると考えられます。一方でデータセンターの開発には、3~5年程度を要するのが実情です。そのため、新規開発のみならず、既存物件の転用や再利用も視野に入ってくることが予想されます。

データセンターに求められるスペックも高度化します。このことは、開発や設備更新に必要な資金も増加することを示しています。今後は、パートナーとの共同出資や、不動産ファンドの資金の活用事例なども増えるでしょう。所有と経営の分離が進むことで、投資対象としてのデータセンターの流動性が高まると考えられます。

他の主な不動産タイプと比較して、データセンターのエネルギー消費量は群を抜いています。従って、今後のデータセンター開発においては、省エネ対応、再生可能エネルギー利用などの環境対応は不可欠と言えます。また、持続可能な開発・運用を行う「グリーンデータセンター」は、他のアセット以上にESG投資に適した投資対象となり得ます。

 

■不動産投資
他の金融商品に比べて相対的に高い利回りや安定した収益が期待できる不動産投資は、機関投資家による年金など長期資金の運用先として、ニーズはさらに高まると考えられます。

一方で、今後の商業用不動産の変化を考える上で総じて言えるのは、ほぼ全てのアセットタイプが、「オペレーショナルアセット」になるということです。例えば、オフィスのようなコア不動産であっても、テナントニーズに柔軟に対応できるか否かでキャッシュフローは大きく変動すると推測されます。従って、不動産投資においては、アセットマネジメントの重要性がますます高まることになります。さらに、不動産の運用が「プロ化」してゆくなか、自社保有のビルが売却される事例は今後も増えると予想されます。そのことは不動産投資市場の流動性の向上にも資すると考えられます。

 

詳細は特別レポート「人・テクノロジー・環境が変える不動産の未来」をご覧ください。
https://www.cbre.co.jp/ja-jp/research-reports/all-japan-reports

 

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