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CBREが全国13都市のオフィスビル市場動向(2019年第4四半期)を発表

CBREは本日、2019年第4四半期(Q4)の全国13都市オフィスビル市場動向を発表。全ての都市で賃料が上昇しました。

2020 年 01 月 28 日

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マーケティング&コミュニケーション

東京の空室率は全グレードで1%割れ
全ての都市で賃料は上昇

 

CBRE(日本本社:東京都千代田区丸の内)は本日、2019年第4四半期(Q4)の全国13都市オフィスビル市場動向を発表しました。

 

【東名大の注目動向】

  • 東京オールグレードの空室率は2期連続横ばいの0.7%
  • 大阪オールグレードの空室率は対前期比-0.1ポイントの0.8%;
    調査開始(1993年)以来の最低値を更新
  • 名古屋オールグレード空室率は対前期比-0.2ポイントの0.7%

 

【今後1年間(2019年Q4 - 2020年Q4)の賃料予測】

  • 東京グレードA賃料:今後1年間では0.5%の下落を予想
  • 大阪グレードA賃料:今後1年間では4.1%の上昇を予想
  • 名古屋グレードA賃料:今後1年間では1.9%の上昇を予想

 

■ 東京23区
今期(Q4)のオールグレード空室率は2期連続横ばいの0.7%。IT関連企業を中心に、業容拡大に伴う拡張移転や、立地改善移転が引き続きみられました。また、大手メーカーの拠点集約や建て替えに伴う移転により、今期竣工したグレードAビルや、空室を抱えていた新築ビルでもまとまったスペースが消化されました。一方、こうした移転に伴って発生した二次空室のうち、立地やグレードで劣る一部のビルでは、空室消化に時間を要するケースがみられています。

東京オールグレード賃料は23,150円/坪と、対前期比+1.2%となり、2019年の年間上昇率は4.2%となりました。なかでもグレードBの賃料は、対前期比+1.5%、年間上昇率は5.6%と、全グレードで最も高い上昇率となっています。

2020年は30万坪の新規供給が予定されています。これは、1991年の調査開始以来最大の2003年の35万坪に次ぐ規模となります。このうち65%を占める19.5万坪のグレードAビルについては、テナント内定率が約9割と推定されます(2019年12月時点)。とはいえ、内定テナントの多くは既存ビルからの移転とみられます。景気の鈍化が懸念される中、一部の既存ビルにおいて二次空室が発生する可能性が考えられます。グレードAの空室率は2020年後半にかけてわずかながら上昇し、賃料については向こう1年間で0.5%の下落を予想しています。

ビル営業本部長の上遠野孝は、「拡張やオフィス環境改善のニーズは相変わらず強い。しかし、ビルによってはテナントとオーナーの賃料目線が乖離し、空室消化に時間を要するケースもみられる。また、立地やグレードが劣るビルでは、早めに後継テナントを決めるため、長めのフリーレント期間や原状回復工事前の居抜きに応じるなどの動きもみられ始めている」とコメントしています。

■ 大阪
今期(Q4)の大阪オールグレード空室率は0.8%と、調査開始(1993年)以来の最低値となりました。業種を問わず新規開設や拡張ニーズが旺盛な状況が続いています。空室がほぼ枯渇する中、立地やグレードに関わらず早期に移転を決定するという企業が増えています。需給逼迫が一段と進んだことで、オールグレード賃料は11年ぶりに過去最高値を更新しました。賃料上昇のトレンドはしばらく続きそうです。

大阪グレードA空室率も0.2%と、調査開始(2005年)以来の最低値となりました。テナントの引き合いが非常に強く、空室が発生しても短期間で消化される状況が続いています。大阪グレードA賃料は25,950円/坪と、対前期比+1.2%となり、2019年の年間上昇率は8.8%となりました。需給逼迫が続く中、賃料はさらに上昇するとみられます。向こう1年間でグレードA賃料は4.1%の上昇を予想しています。

CBRE関西支社シニアディレクターの大上英男は、「空室がほとんどない中、賃料が相場から著しく乖離していなければ、立地やグレードを問わず移転を決める企業は多い。こうした動きが大阪の賃料上昇の要因になっている」とコメントしています。

■ 名古屋
今期(Q4)の名古屋オールグレード空室率は対前期比-0.2ポイントの0.7%と、過去最低値を更新しました。テナントの新規開設や拡張移転ニーズは依然として強いものの、受け皿不足が続いています。館内増床ができず、分室を検討するケースや他エリアへ移転を決めたケースもみられました。また、前期にまとまった面積の解約が発生したビルでは、すでに4割以上のスペースで後継テナントが内定しています。

今期のグレードA賃料は27,800円/坪と、対前期比+1.8%となり、2005年の調査開始以来の最高値を記録。また、2019年の年間上昇率は5.1%となりました。タイトな需給を背景に、周辺相場と比較して割安感のある一部のグレードAビルで賃料を引き上げる動きがみられました。新規供給は極めて少なく、当面は貸し手優位の状況が続くとみられます。グレードA賃料については、今後1年間で1.9%の上昇を予想しています。

CBRE名古屋支店ディレクターの宮崎順一は、「2020年竣工予定のビルはほぼテナントが決定している。既存ビルからの二次空室の発生もほとんどないとみられるため、引き続き需給タイトなマーケットが続くと思われる」とコメントしています。

 

【地方都市の注目動向】

  • 札幌: 空室率は対前期比-0.4ポイントの0.5%
  • 金沢: 5年ぶりの新築ビルは満室で竣工
  • 広島: 空室率は1.9%と、2001年の調査開始以来初の2%割れ

今期(Q4)の地方都市の空室率は、10都市中4都市で前期に比べて低下し、3都市で上昇、3都市で横ばいとなりました。オールグレード空室率は「東京」、「大阪」、「名古屋」を含む全国13都市中8都市で1%割れとなっています。

地方都市では新規開設や拡張移転のニーズが依然旺盛で、空室消化が進みました。「札幌」では前期に複数のビルで発生した空室が消化されました。「仙台」では複数の館内増床で空室率は低下しました。「横浜」では、分室や新規開設がみられたほか、メーカーによる2021年竣工予定のビルへの本社移転が決定しました。「金沢」では5年振りとなる新築ビルが満室稼働で竣工しました。

京都」では、シェアオフィスの新規開設が相次いでいます。「広島」では市内中心部で新築ビルが満室で竣工したものの、空室率は2001年の調査開始以来初の2%割れとなりました。「福岡」では、一部の高額な募集賃料が敬遠されたことで空室率はわずかに上昇したものの、依然として需給タイトな状態が続いています。

想定成約賃料は、8期連続で10都市全てで上昇しました。中でも、「京都」の賃料は対前期比の上昇率が+3.4%と10都市中もっとも高く、過去最高値を更新しました。2019年の年間の上昇率においても「京都」が+11.7%と最も高く、次いで「福岡」が+9.3%となりました。

 

■ 各都市のマーケット
JOMV-2019Q4-JP-01
出所: CBRE, Q4 2019

■ 3大都市の空室率、賃料予測(グレードA)
JOMV-2019Q4-JP-02
出所: CBRE, Q4 2019

■ 東京
JOMV-2019Q4-JP-03
出所: CBRE, Q4 2019

■ 大阪
JOMV-2019Q4-JP-04
出所: CBRE, Q4 2019

■ 名古屋
JOMV-2019Q4-JP-05
出所: CBRE, Q4 2019

JOMV-2019Q4-JP-06

各都市のマーケットデータおよび市況の解説詳細は、本日発刊の「ジャパンオフィスマーケットビュー Q4 2019」でご覧いただけます。
https://www.cbre.co.jp/ja-jp/research-reports/office-reports

 

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