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CBREが全国13都市のオフィスビル市場動向(2019年第3四半期)を発表

CBREは本日、2019年第3四半期(Q3)の全国13都市オフィスビル市場動向を発表。全国13都市中8都市でオールグレード空室率が1%を割り込みました。

2019 年 10 月 24 日

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マーケティング&コミュニケーション

オールグレード空室率は全国13都市中8都市で1%割れ

 

CBRE(日本本社:東京都千代田区丸の内)は本日、2019年第3四半期(Q3)の全国13都市オフィスビル市場動向を発表しました。

 

【東名大の注目動向】

  • 東京グレードA空室率は対前期比-0.1ポイントの0.7%。オールグレードは0.7%の横ばい
  • 大阪オールグレードの空室率が初の1%割れ。対前期比-0.3ポイントの0.9%
  • 名古屋グレードA空室率は対前期比+0.1ポイントの0.1%

 

【今後1年間(2019年Q3 - 2020年Q3)の賃料予測】

  • 東京グレードA賃料:今後1年間では2.9%の下落を予想
  • 大阪グレードA賃料:今後1年間では4.3%の上昇を予想
  • 名古屋グレードA賃料:今後1年間では2.6%の上昇を予想

 

■ 東京23区
今期(Q3)の東京オールグレード空室率は対前期比横ばいの0.7%。一部の既存ビルで二次空室が発生しました。また、今期竣工した10棟のビルのうち3棟が、わずかながら空室を残しました。一方で、グループ企業の集約や新規開設により、複数のビルでまとまった空室が消化されています。特に、コワーキングスペース事業者が合計8,000坪以上のスペースを確保しました。

拡張移転や新設などのニーズは相変わらず強いものの、契約更改時の大幅な賃料引き上げを避け、相場に比べて賃料が割安なエリア(またはビル)への移転を検討するテナントも散見されるようになっています。今期も、そのような理由でまとまった空室が消化される事例が複数みられました。同時に、賃料が比較的高額なエリアでは、テナントが退出したスペースが募集に出るケースがみられ始めています。「丸の内・大手町」エリアではグレードA空室率が対前期比で0.6ポイント上昇しました。

東京オールグレード賃料は22,870円/坪と、対前期比1.7%上昇しました。グレードAの賃料は対前期比1.1%上昇。相場よりも割安なエリアで賃料は上昇しているものの、「丸の内・大手町」エリアでは横ばいとなりました。

2020年に竣工する予定のグレードAオフィスは約20万坪。2019年9月末時点でのテナント内定率は8割超と、プレリーシングは順調です。しかし、内定しているテナントの多くは既存ビルからの移転。国内景気の減速もしくは後退のリスクが高まる中、既に二次空室が発生し始めており、今後もこの流れが続く可能性は高いとみられます。そのため、グレードA賃料については向こう1年間で2.9%の下落を予想しています。

ビル営業本部長の上遠野孝は、「新築ビルへの移転により、テナント退去が決まっているビルでは、館内増床が一服し、空室発生のリスクが少しずつではあるものの高まっている。立地や設備等が劣るビルでは、早めに後継テナントを決めるため、長目のフリーレント期間に応じるなどの動きもみられ始めている」とコメントしています。

■ 大阪
今期(Q3)の大阪オールグレード空室率は0.9%と、調査開始(1993年)以来初の1%割れとなりました。立地やグレードを問わず、スペースを確保しようとするテナントが多くみられました。需給逼迫が一段と進んだことで、オールグレード賃料は2008年以来の13,000円台後半まで上昇、2003年の調査開始以来の最高値14,080円(2008年Q1)に迫る水準となりました。

大阪グレードA空室率は対前期比+0.1ポイントの0.3%となりました。対前期比でわずかに上昇したものの、テナントの引き合いが非常に強く、今期発生した空室も短期間で消化される見込みです。大阪グレードA賃料は対前期比+1.8%の25,650円/坪となりました。需給逼迫が続く中、賃料はさらに上昇するとみられます。向こう1年間でグレードA賃料は4.3%の上昇を予想しています。

CBRE関西支社シニアディレクターの大上英男は、「2020年代半ばを竣工予定とする、複数の開発計画が明らかとなってきた。差し迫ってスペースが必要なテナントにとって状況は変わらないが、大阪で拠点戦略をじっくりと練るようなテナントには朗報といえる。スペース不足の解消に全く目途が立たない現在の状況が変化する兆しが見えてきた」とコメントしています。

■ 名古屋
今期(Q3)の名古屋オールグレード空室率は対前期比横ばいの0.9%となりました。小規模な空室が複数発生した一方、まとまった面積が確保できるビルでは、統合や立ち退き移転等により、空室が消化されました。設備のグレードアップや拡張のための移転ニーズは旺盛であるものの、受け皿不足が続いています。このため、今期竣工したビルはほぼ満室でスタートしました。また、自社ビルへの移転を理由に、まとまった面積の解約が発生したビルでも、今後引き合いが強まるとみられています。

名古屋オールグレード賃料は対前期比+2.8%の13,480円/坪。グレードA賃料は対前期比 +1.5%の27,300円/坪となり、2007年Q4につけた過去最高値の27,350円も年内には超えるとみられます。今後も新規供給が極めて少ない中、当面は需給タイトな状況が続くと想定されるため、グレードA賃料については、今後1年間で2.6%の上昇を予想しています。

CBRE名古屋支店ディレクターの宮崎順一は、「テナント需要は引き続き旺盛。テナント退去後の区画が外部募集される場合、複数テナントにより競合するケースが多い」とコメントしています。

 

【地方都市の注目動向】

  • 横浜: 空室率は0.8%、初の1%割れ
  • 金沢: 空室率は4.7%と、1996年の調査開始以来の最低値を記録
  • 広島: 空室率は2.1%と、2001年の調査開始以来の最低値を記録

今期(Q3)の地方都市の空室率は、10都市中5都市で前期に比べて低下し、3都市で上昇、2都市で横ばいとなりました。このため、オールグレード空室率は「東京」、「大阪」、「名古屋」を含む全国13都市中8都市で1%割れとなっています。

地方都市では新規開設や拡張移転のニーズは旺盛で、空室消化が進みました。「札幌」ではわずかに空室率が上昇したものの、新規開設や分室等により徐々に消化に向かう見込みです。「横浜」では、空室率が初の1%割れ。「みなとみらい」エリアでメーカーによる新規開設や館内増床により空室が消化されたことが空室率低下の要因となりました。「金沢」では、短期賃借ではあるものの建設関連企業の分室開設によりまとまった空室が消化され、空室率が調査開始以来の最低値を記録しました。「広島」でも、空室率が調査開始以来の最低値を記録。今年第一四半期に竣工した新築ビルの空室も順調に消化されました。「神戸」や「福岡」も、新規開設や拡張移転ニーズは旺盛であり、テナントの動きは活発です。「福岡」では、新規開設や拡張移転ニーズは旺盛なものの、相場から大きく乖離する賃料設定をしたビルの中にはテナントから敬遠され空室が長引く事例が見受けられます。

想定成約賃料は、7期連続で10都市全てで上昇しました。中でも、「京都」は、需給が極めて逼迫した状況が続いており、対前期比の上昇率は+3.1%と10都市中もっとも高くなり、過去最高値も更新しました。「仙台」では10年半ぶりに11,000円台となりました。「札幌」、「さいたま」、「金沢」、「福岡」は今期も過去最高値を更新しました。

 

■ 各都市のマーケット
JOMV-2019Q3-JP-01
出所: CBRE, Q3 2019

■ 3大都市の空室率、賃料予測(グレードA)
JOMV-2019Q3-JP-02
出所: CBRE, Q3 2019

■ 東京
JOMV-2019Q3-JP-03
出所: CBRE, Q3 2019

■ 大阪
JOMV-2019Q3-JP-04
出所: CBRE, Q3 2019

■ 名古屋
JOMV-2019Q3-JP-05
出所: CBRE, Q3 2019

JOMV-2019Q3-JP-06

各都市のマーケットデータおよび市況の解説詳細は、本日発刊の「ジャパンオフィスマーケットビュー Q3 2019」または弊社ホームページ上でもご覧いただけます。
https://www.cbre.co.jp/ja-jp/research-reports/japan-research-archives

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