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CBREが全国13都市のオフィスビル市場動向(2020年第1四半期)を発表

CBREは本日、2020年第1四半期(Q1)の全国13都市オフィスビル市場動向を発表しました。

2020 年 04 月 27 日

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マーケティング&コミュニケーション

全国的に賃料は上昇、ただし一部で変調の兆し

 

CBRE(日本本社:東京都千代田区丸の内)は本日、2020年第1四半期(Q1)の全国13都市オフィスビル市場動向を発表しました。

 

【東名大の注目動向】

  • 東京オールグレードの空室率は0.6%、2019年Q1につけた過去最低値に並ぶ
  • 大阪オールグレードの空室率は対前期比-0.1ポイントの0.7%
  • 名古屋オールグレード空室率は対前期比+0.3ポイントの1.0%

 

■ 東京23区
今期のオールグレード空室率は対前期比-0.1ポイントの0.6%と、2019年Q1につけた過去最低値に並びました。しかし、2020年3月以降、新型コロナウィルス感染拡大の影響がオフィス市場にも徐々に現れています。移転や新設の意思決定が延期されているほか、契約がキャンセルとなるケースもわずかながら見られ始めました。

一方で、IT関連企業をはじめ、業容拡大に伴う拡張や新設に関するニーズそのものは相変わらず多くみられます。今期は、メーカーをはじめとする大手企業の自社ビル建て替えに伴う移転、ならびに金融機関の集約・立地改善などによりまとまった空室が消化されました。竣工を控えるグレードAビルのリーシングも堅調です。2020年に20万坪弱、2021年は約5万坪の新規供給が予定されていますが、推定されるテナント内定率は2020年3月末時点でそれぞれ9割超、6割超となっています。

しかし、感染拡大はQ2にピークを打つという想定のもと、賃料は今後、緩やかな下落に転じると予想されます。

ビル営業本部長の上遠野孝は、「依然として拡張やオフィス環境改善のニーズは多い。しかし、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、移転や拡張が延期または中止となるケースが徐々に増えてきている。中でも小売・観光・イベント関連の業種では、契約直前でのキャンセルも一部で見られた。感染が早期に収束しなければ、このような動きはより広い業種に波及する可能性もあるのではないか」とコメントしています。

■ 大阪
今期(Q1)の大阪オールグレード空室率は対前期比-0.1ポイントの0.7%と低下しました。オールグレード賃料は14,610円/坪と対前期比+3.3%上昇しました。今期も空室率低下、賃料上昇のトレンドは継続しています。しかし、2020年3月以降に本格化した新型コロナウィルス感染拡大の影響がオフィス市場でも見られ始めています。今後、テナントの動きが鈍化する可能性は高まっているといえます。

とはいえ、大阪では、2020年、2021年の新規供給がいずれも1万坪に満たない低い水準にとどまります。また、需給が極めて逼迫する中、深刻なスペース不足に陥っていたテナントが直ちに減床するとは考えにくく、現時点では、空室率は低水準で横ばい、賃料上昇のトレンドは継続するとみられます。しかし、借り急ぐテナントは減少すると思われるため、賃料の上昇率は鈍化するでしょう。

CBRE関西支社シニアディレクターの大上英男は、「新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、移転計画の見直しや延期となるケースが見られ始めている。感染拡大の終息が長期化し、テナントの動きが鈍くなることが懸念される」とコメントしています。

■ 名古屋
今期(Q1)の名古屋オールグレード空室率は対前期比+0.3ポイント上昇し1.0%となりました。一棟のグレードAビルでまとまった空室が発生、館内で消化されず外部テナントの募集となりました。昨年より、製造業を中心に大型区画に対するニーズはやや弱含んでおり、まとまった空室の消化には時間を要する事例がみられています。一方、50坪前後のスペースでは引き合いは多く、「栄」エリアでは複数の空室が消化されました。

今期のグレードA賃料は対前期比+1.4%の28,200円/坪。前期に続き、2005年の調査開始以来の最高値を更新しました。満室稼働のビルは依然として多く、総じて貸し手優位の状況が続いています。新型コロナウィルス感染拡大の影響は今のところ限定的なものの、今期、移転の延期や中止が数件みられました。感染拡大が長引けば、テナントはオフィス戦略見直しの必要に迫られる可能性もあり、オフィス需要への影響が考えられます。

CBRE名古屋支店ディレクターの宮崎順一は、「新型コロナウイルスの影響によるオフィス移転計画の検討が中止遅れるといった事例は出てきている。一方リスクヘッジのためのオフィスの分散化といった別の形での需要も散見される」とコメントしています。

 

【地方都市の注目動向】

今期(Q1)の地方都市の空室率は10都市(札幌・仙台・さいたま・横浜・金沢・京都・神戸・高松・広島・福岡)中、6都市で前期に比べて低下、3都市で上昇、1都市で横ばいとなりました。幅広い業種で拡張や新設などのニーズによって空室が消化され、地方都市では需給タイトな状況が続いています。

想定成約賃料は全都市で対前期比上昇しました。10都市中6都市で2003年の調査開始以来の最高値を記録しました。周辺相場よりも割安なビルで賃料が上昇するなど賃料水準の底上げが進んでいる都市が多くなっています。

地方都市においても、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、移転や新設に関する意思決定を延期するケースが散見されました。しかし、キャンセルされるケースはこれまでのところほとんどみられていません。既存の賃借スペースの解約もみられておらず、2020年3月下旬時点では地方都市のオフィスマーケットに対する影響は限定的といえます。

 

■ 各都市のマーケット
JOMV-2020Q1-JP-01
出所: CBRE, Q1 2020

■ 東京
JOMV-2020Q1-JP-02
出所: CBRE, Q1 2020

■ 大阪
JOMV-2020Q1-JP-03
出所: CBRE, Q1 2020

■ 名古屋
JOMV-2020Q1-JP-04
出所: CBRE, Q1 2020

JOMV-2020Q1-JP-05

各都市のマーケットデータおよび市況の解説詳細は、本日発刊の「ジャパンオフィスマーケットビュー Q1 2020」でご覧いただけます。
https://www.cbre.co.jp/ja-jp/research-reports/office-reports

 

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