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CBREが投資市場動向(2020年第1四半期)を発表
CBREは本日、2020年第1四半期(Q1)の投資市場動向(Japan Investment MarketView)及び第67回「不動産投資に関するアンケート ‐ 期待利回り」(CBRE Japan Cap Rate Survey) の最新調査結果を発表しました。
2020 年 05 月 14 日
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今期の日本の投資額は1兆円、対前年同期比41%増 - 海外投資家による取得額が大幅増
第2四半期の投資額は、新型コロナウィルス感染拡大による影響で、抑制される見込み
CBRE(日本本社:東京都千代田区丸の内)は本日、2020年第1四半期(Q1)の投資市場動向(Japan Investment MarketView)及び第67回「不動産投資に関するアンケート ‐ 期待利回り」(CBRE Japan Cap Rate Survey) の最新調査結果を発表しました。
■ 世界の投資市場
Q1投資額は前年同期から増加も3月投資額は減少、Q2投資額は抑制の見込み
今期(Q1)の世界の事業用不動産投資額は、対前年同期比15%増の2,350億米ドル(約26兆円1)。前年下期から増加していた企業買収の動きが今期成約に至ったことが主因です。地域別では、米州の投資額が1,210億ドル(約13兆円)で同8%増加しました。前年に株価が好調だったREITによる旺盛な投資が主因です。また、欧州・中東・アフリカ(EMEA)はQ1投資額として最高の920億ドル(約10兆円)を記録、対前年比46%増となりました。EMEA では5,000億ドルを超える大型の企業買収が全投資額の25%を占めました。一方で、アジア太平洋地域(APAC)は230億米ドル(約2.5兆円)で同22%減少。中国や香港、オーストラリアの投資額減少が主因です。
新型コロナウィルス感染拡大により投資活動は3月から停滞しており、Q2投資額は全地域で抑制される可能性があります。ただし、中国などアジアの一部の国では企業活動が正常化しつつあることから、今後、APACで他の地域に先んじて投資意欲ならびに投資額の回復がみられるかもしれません。
■ 日本の投資市場
2020年Q1投資額増加は海外投資家が牽引
今期(Q1)の事業用不動産の投資額(10億円以上が対象、土地取引およびJ-REITのIPO時の取得物件は除く)は対前年同期比41%増の1兆円。海外投資家による取得額の増加が主因。投資主体別投資額割合で最も大きかったのはJ-REITの42%。一方、投資額は前年同期から横ばいの4,460億円、J-REIT以外の国内投資家は3,350億円で同32%増加、海外投資家は2,940億円で前年同期の4倍近い規模となりました。
■ 期待利回り2
東京の期待利回り、ホテルは2期連続で上昇、オフィスと物流施設は最低値を維持
CBREが四半期毎に実施している「不動産投資に関するアンケート 期待利回り(回答期間:3月11日~4月14日)」によれば、東京ではホテル(運営委託型)、商業施設(銀座中央通り)、賃貸マンション(ワンルーム)が前期から5ps~20bps上昇。ホテル(運営委託型)は2期連続で上昇しました。当調査で東京の主要アセットの期待利回りが2期連続で上昇したのは2009年以来、およそ10年ぶり。他のアセットタイプ(オフィス、物流施設、賃貸マンション・ファミリー)は横ばいで最低値を維持しました。地方都市のオフィス期待利回りは大阪と仙台で前期から低下して最低値を更新。ただし、福岡は同2bps上昇しました。
■ CBRE短観指数3
市況感はオフィスで悪化も、物流施設はほぼ変わらず
2020年3月時点の東京オフィスAクラスビルを対象としたCBRE短観指数(DI)は全項目で悪化。「3か月前と比較して売買取引価格は下落」「期待利回りは上昇」と回答した割合が前期から10ポイント以上増加しました。物流施設(首都圏マルチテナント型)のDIも、「空室率」を除く全項目で悪化。ただし、「6か月前と比較して変わらない」と回答した割合が7項目中5項目で増加。物流施設では市況感に大きな変化は見られなかった。「金融機関の貸出態度」「投融資取組スタンス」については両アセットタイプの回答内容から慎重な姿勢は窺えるものの大きな悪化は見られていない。
■ 注目トレンド
新型コロナウィルス感染拡大による影響でQ2投資額は抑制される見込み
渡航規制(もしくは自粛)により、海外投資家が物件視察のために来日することができず、取引を延期する事例が増加しています。ホテルやリテールでは、中止となった案件も散見されました。4月には、財務基盤強化のためのキャッシュ確保を目的とした売却案件が一部で見られました。ただし、取引が成立するには時間を要すると考えられます。感染拡大の収束が不透明な状況では、売主と買主の価格目線が乖離しやすいためです。とはいえ、「CBRE投資家意識調査2020」によると、もともと投資家の投資意欲は高く、新型コロナウィルスの影響で「取得額を減らす」と回答した投資家は3月下旬でも2割弱に止まりまりました。業績悪化によるノンコアアセットの売却やセールス・アンド・リースバックを検討する事業会社が増加するとみられる一方、そうした事例に投資機会を見出す投資家も国内金融機関を中心に存在しています。感染拡大収束の兆しが見えてくれば、再び投資額は増加すると予想されます。
CBRE リサーチ ディレクター本田あす香は、次のように述べています。「新型コロナウィルスによる影響で、前年に見られた取引の勢いは第2四半期で失速し、2020年の投資額は抑制される可能性があります。バランスシート改善のための資産売却などに投資機会を見だす機関投資家が出てくる一方で、収益の安定性をより重視する投資家も増えると考えられます」
▼投資市場の解説詳細は本日(5月14日)発刊の下記レポートでご覧いただけます。
◇「ジャパンインベストメントマーケットビュー 2020年第1四半期」
◇「不動産投資に関するアンケート – 期待利回り 2020年3月」
https://www.cbre.co.jp/ja-jp/research-reports/investment-reports
∇脚注
1. 投資額は2020年Q1の平均為替(108.97円/ドル)で集計。取引には企業買収含む。
2. レンジ下限値と上限値の平均。調査開始年 2003年7月:オフィス、賃貸マンション、2009年1月:商業施設、ホテル、物流施設
3. DI(= Diffusion Index):改善すると答えた回答者の割合(%)から、悪化すると答えた回答者の割合(%)を引いた指数
不動産投資に関するアンケート ‐ 期待利回り(CBRE Japan Cap Rate Survey)概要
- 調査目的
期待利回り水準等の把握に資する参考データの収集・分析のため - 調査方法及び調査期間
メールにより送付
2020年3月10日~3月31日(ただし、締め切り後に到着した回答についても集計対象とした) - 調査対象及び回収率
- 対象者数:151名(社数:148社)
- 回答者数:122名(社数:120社)
- 回収率:80.8%(社数回収率81.1%) - ご回答者の属性
アレンジャー、レンダー(シニアを主とする)、レンダー(メザニンを主とする)、デベロッパー・不動産賃貸、アセットマネージャー(J-REITを主とする)、アセットマネージャー(J-REIT以外を主とする)、エクイティ投資家、その他 - 調査結果の公表について
調査実施項目のうち一部の結果のみ下記レポートにて公表
「不動産投資に関するアンケート – 期待利回り 2020年3月」(CBRE Japan Cap Rate Survey)
https://www.cbre.co.jp/ja-jp/research-reports/investment-reports
CBRE日本法人について
CBRE日本法人(シービーアールイー株式会社)は、不動産賃貸・売買仲介サービスにとどまらず、各種アドバイザリー機能やプロパティマネジメント、不動産鑑定評価などの17の幅広いサービスラインを全国規模で展開する法人向け不動産のトータル・ソリューション・プロバイダーです。CBREの前身となった生駒商事が1970年に設立されて以来、約半世紀以上にわたり、日本における不動産の専門家として、全国9拠点で地域に根ざしたサービスを展開してきました。企業にとって必要不可欠な「ビジネスインフラ」として認められる不動産アドバイザリー&サービス企業を目指して、国内約1,700名*のプロフェッショナル(*子会社を含む)が、最適かつ的確な不動産ソリューションを中立的な立場で提供いたします。詳細につきましては日本国内ホームページ www.cbre.co.jp をご覧ください。
公式Xアカウント: @cbrejapan
CBREグループについて
CBREグループ(NYSE:CBRE)は、「フォーチュン500」や「S&P 500」にランクインする、ダラスに本社を構える世界最大の事業用不動産サービスおよび投資顧問会社です(2023年の売上ベース)。
全世界で130,000人以上の従業員(ターナー&タウンゼントの従業員を含む)が、100カ国以上でクライアントに対し、幅広いサービスを提供しています。不動産売買・賃貸借の取引業務、プロパティマネジメント、ファシリティマネジメント、プロジェクトマネジメント、事業用不動産ローン、不動産鑑定評価、不動産開発サービス、不動産投資マネジメント、戦略的コンサルティングを主要業務としています。
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