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CBREが2021年までの不動産マーケットを予測した特別レポート「不動産マーケットアウトルック2020」を発表
CBREは本日、特別レポート「不動産マーケットアウトルック2020」を発表。オフィスマーケット、リテール(路面店舗)マーケット、物流施設マーケット、不動産投資マーケットのそれぞれについて2019年を振り返ると共に、2021年までの見通しをまとめました。
2020 年 01 月 21 日
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CBRE(日本本社:東京都千代田区丸の内)は本日、特別レポート「不動産マーケットアウトルック2020」を発表しました。当レポートは、オフィスマーケット、リテール(路面店舗)マーケット、物流施設マーケット、不動産投資マーケットのそれぞれについて2019年を振り返ると共に、2021年までの見通しをまとめたものです。
【各セクターの注目動向】
- オフィス:タイトな需給環境を背景に東京以外の全都市で今後も賃料は上昇
- リテール(銀座ハイストリート):インバウンド需要の取り込みに成功している業種を中心に、ハイストリートへの出店ニーズは旺盛
- 物流:向こう2年間、需給バランスは三大都市圏のいずれにおいても逼迫した状況が続く
- 投資:機関投資家を中心に投資意欲は引き続き高く、2020年の国内の投資総額は前年に比べて2%増加する見込み
【今後2年間(2019年Q4-2021年Q4)の賃料予測】
- 東京グレードAオフィスの賃料:2020年後半は弱含むものの、その後2021年に持ち直すとみられ、2年後の賃料は2019年末比で-0.5%と予想
- 銀座ハイストリートの路面店舗の賃料:今後2年間では1.4%の上昇を予想
- 首都圏大型マルチテナント型物流施設の賃料:今後2年間では2.4%の上昇を予想
オフィスマーケット
2019年のオフィス市場は、東京を含むほぼ全ての都市で空室率はさらに低下しました。特に、2019年末時点で空室率が1%を下回る見込みの都市は、調査対象13都市のうち8都市(札幌、さいたま、東京、横浜、名古屋、大阪、京都、福岡)と、過去最多となりました。タイトな需給バランスを受けて、賃料は、東京以外の全都市で上昇し、中でも仙台、横浜、金沢、京都、大阪、神戸、広島の7都市では年間の上昇率は2018年に比べて加速する見通しです。企業活動が必ずしも強含みとは言えなかった中でタイトな需給が続いた背景として、以下のいくつかの要因が挙げられます。1つ目は、オフィス環境の改善を積極的に進める企業が引き続き多くみられていること。2つ目は、老朽化したビルの建て替えに伴う立ち退き移転や、不動産価格の上昇を背景に自社ビルを売却し、賃貸ビルへ移転するといった事例が増加したこと。これらに加え、東京の場合はコワーキングスペースの新規開設の増加が挙げられます。そして地方都市においては、新規供給が引き続き極めて限定的であったことが需給タイトの主因として挙げられます。世界的にインフレ率は抑制されており、低金利環境も今後しばらくは続くとみられます。さらに、米中貿易摩擦ならびに英国のEU離脱に対する懸念もいったんは和らいでいます。こうした中、日本においても企業マインドは回復しつつあり、東京も含めてオフィス市場の需給は当面タイトな状況が続くと予想されます。東京グレードA賃料は、日本経済のスローダウンと供給の増加を背景に、2020年なかばから上値が重くなると考えられるものの、2021年に入って再び持ち直すと予想されます。
リテールマーケット(銀座ハイストリート*)
2018年に引き続き、2019年のリテール賃貸市場では、インバウンド需要の取り込みに成功したリテーラーを中心に、旺盛な出店ニーズがみられました。銀座ハイストリート賃料は2017年Q3に底入れしてから1.6%上昇して2019年Q3時点で25.8万円/坪。賃料は2020年は弱含むとみられるものの、向こう2年間では1.4%の上昇を予想しています。eコマースの市場拡大が続く中、商品の販売よりもショールームとしての機能を重視した出店も散見されるようになっています。中でも出店期間を限定したポップアップストアと呼ばれる出店形態が、幅広い業態のリテーラーの注目を集めています。リテーラーにとっては、話題を作ることで新たな顧客層の掘り起こしが可能となります。オーナーにとっては、人気の高いブランドやニュース性の高いブランドを誘致することで、所有物件の不動産のバリューアップに繋がります。新たな路面店舗スペースの貸し方としてポップアップストアが不動産オーナーに浸透することで、出店ニーズはさらなる広がりをみせるでしょう。
*銀座ハイストリート:銀座エリアの中でCBREが独自に設定した、繁華性が特に高い通り
物流施設マーケット
2019年の大型マルチテナント型物流施設(LMT)の新規需要は、三大都市圏の合計で100万坪に届く勢いで、2018年の記録を40%ほど上回り、過去最高を記録する見込みです。ECの拡大のみならず、自動化設備やロボット技術の導入に加え、トラックドライバー不足対応のための配送中継拠点の開設など、物流業界の改革がLMTのニーズに直結しています。向こう2年間、首都圏、近畿圏、中部圏のいずれにおいても需給バランスはタイトな状況が続くでしょう。首都圏LMTの実質賃料は、2019年Q4に対前年同期比+2.4%の4,250円/坪となる見込みです。2021年Q4までにさらに2.1%の上昇を予想しています。上昇ペースが緩やかになるのは、2%前後という記録的な低水準となった空室率がさらに大きく低下することは考えにくいことと、2021年には過去最高規模の新規供給が控えているためです。近畿圏でも2021年の新規供給は2017年と並ぶ過去最高規模。しかし新興エリアの順調なテナント決定や湾岸部の需要回復に鑑みると、向こう2年間の空室率は8%以内に収まるでしょう。中部圏で現在発表されている2021年までの開発計画は計2棟。LMTとしては新興立地の物件ですが、物件の選択肢が限られる中、ニーズは堅調とみられます。空室率は、供給の影響で一時的な上昇はあるものの2021年末は4%程度にとどまる見通しです。
不動産投資マーケット
2019年の不動産投資額(10億円以上の取引)は、Q1からQ3までの累計で2.4兆円、対前年同期比6.5%の増加となりました。件数は前年を下回ったものの、大型取引の増加が投資総額の拡大に繋がりました。物件不足が続く中、大型物件やポートフォリオ案件に資金が集まりやすいとみられています。アセットタイプでは、商業施設、ホテル、物流施設が増加を牽引。投資主体別では、不動産へのアロケーションを増やしつつある機関投資家の資金が、前年同期比62%増ともっとも大きく増加しました。2019年通年の総投資額は、前年に比べて7%程度上回る見通しです。2020年の投資額は2019年に比べて2%程度の増加にとどまると予想しています。引き続き機関投資家の資金が不動産投資に流入する見込みで、再び大型の案件が投資総額を牽引するでしょう。ただし、マーケットのサイクルも終盤にさしかかっているとみる投資家が多い中、選別的な投資家が増えるとみられます。東京のプライムアセットの利回りは調査開始以来の最低値を更新あるいは維持することでしょう。中でも、東京ベイエリア大型マルチテナント型物流施設の利回りは、2020年にかけてさらに低下することが予想されます。
オフィス、物流施設のマーケットは主要都市・エリア別に動向をまとめています。詳細は特別レポート「不動産マーケットアウトルック2020」をご覧ください。
https://www.cbre.co.jp/ja-jp/research-reports/all-japan-reports
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CBREグループについて
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