東京

CBREが「レンダーアンケート2019」の結果を発表

CBREは本日、「CBREレンダーアンケート2019」を発表。不動産会社や不動産ファンド向けに融資するレンダーに対して実施した、今後の不動産市場の見通しや融資方針に関するアンケート調査の結果をまとめました。

2019 年 06 月 13 日

Media Contact

マーケティング&コミュニケーション

2019年度の新規融資額は増加する見込みも、LTVや収益の安定性を重視する慎重かつ冷静な取組みが続く

 

CBRE(日本本社:東京都千代田区丸の内)は本日、「CBREレンダーアンケート 2019」を発表しました。本レポートは、不動産会社や不動産ファンド向けに融資するレンダーに対して実施した、今後の不動産市場の見通しや融資方針に関するアンケート調査の結果をまとめたものです。

主なポイントは以下の通りとなります。

1. 融資戦略

  • 2019年度の新規融資額は増加する見込み
    2018年度の融資額実績と比較して2019年度は「変わらない」または「増加する」と回答したレンダーの割合は、シニアローンで90%、メザニンローンで91%となりました。
  • 融資判断で最も重視する項目では、「安定した収益性」が大幅に増加
    不動産ノンリコースローンの融資の可否を判断する際に最も重視する項目を尋ねたところ、回答がもっとも多かったのは「LTV」(資産評価額に対する融資金額の割合)で、回答率は36%でした。一方、前年に比べて大幅に増加した項目は「安定した収益性」で、回答率は前年の20%から28%に増加しました。レンダーは新規融資に積極的ながら、融資対象については元本回収がより確実で景気サイクルの影響を受けにくい物件を求めていることがうかがえます。
  • 融資対象として最も人気が高いアセットタイプは、前年に引き続き「オフィス」
    レンダーが融資対象として最も魅力的と感じているアセットタイプは「オフィス」で、回答率は前年の54%から64%に増加しました。オフィス賃貸マーケットは全国的に需給タイトな状況が続いていることがレンダーにも好感されていると考えられます。
  • 東京や首都圏が融資対象エリアとして最も魅力的。地方都市では福岡が上位に
    オフィスビルへの融資については、東京、大阪、横浜に次いで福岡が4位に選ばれました。地方都市のオフィスマーケットは今後も需給タイトな状況が続くとみられています。賃料が更に上昇するという期待感が、地方都市に対するレンダーの高評価につながったものと推察されます。

 

2. 今後の見通し

  • 国内外の景気後退に対する懸念が高まる
    今後1年間の売買市場の見通しについて質問したところ、「不動産価格は上昇する」と見ているレンダーは前年の23%から28%に増加しました。このことは、投資家(ボロワー)の投資意欲が引き続き高いことを反映していると言えます。一方で、不動産ファイナンス市場における最大の脅威について質問したところ、「国内外の経済ショック」が前年の38%から64%と大幅に増加しました。米国発の貿易摩擦による影響を注視していると見られます。
  • LTVや収益の安定性を重視する慎重かつ冷静な取組みが続く
    今回の調査結果からは、レンダーは2018年の調査に比べてやや前向きな姿勢になっていることがうかがえました。「不動産価格」が上昇するとした回答者は、前回調査に比べて増加しました。また、ほとんどのレンダーが「LTV」は前年の水準から変らないと見込む一方で、「スプレッド」については見方が分かれ、縮小すると回答したレンダーも前年より増加しました。(Figure1)

 

Figure1: 今後の見通し
Figure 1
出所:CBRE、2019年6月

 

CBRE リサーチのアソシエイトディレクター、本田あす香は次のようにコメントしています。「低金利が続くなか、より高い収益が期待できる不動産投資事業は、レンダーにとっても引き続き重要な融資先。今回の調査結果は、融資姿勢は引き続き前向きながらも、慎重かつ冷静な取組みが続くとみられることを示唆している」

 

詳細な解説は、本日発刊の特別レポート「レンダーアンケート 2019」をご覧ください。
https://www.cbre.co.jp/ja-jp/research-reports/investment-reports

 

 

CBREレンダーサーベイ 2019の調査概要
  1. 調査目的および対象
    不動産の融資姿勢の把握に資するデータ収集・分析のため。不動産ノンリコースローンの従事者を対象に実施。
  2. 調査方法及び調査期間
    調査票(ファイルをメール送付)およびWebサイトにて、2019年4月~5月に実施
  3. 調査対象及び回収率
    対象企業数:40社 回答企業数:25社 回収率:63%
  4. 主な回答協力企業(順不同)
    アクサ・リアル・エステート・インベストメント・マネジャーズ・ジャパン株式会社
    ソシエテ・ジェネラル銀行 東京支店
    株式会社三菱UFJ銀行
    芙蓉総合リース株式会社
    オリックス生命保険株式会社
    東京スター銀行
    ダイヤモンドリアルティマネジメント株式会社
    株式会社きらぼし銀行
    株式会社新生銀行
    みずほ証券プリンシパルインベストメント株式会社
    株式会社りそな銀行
    メットライフ生命保険株式会社
    株式会社みずほ銀行
    三菱UFJリース株式会社
    (他、11社)
  5. 調査結果の公表について
    本レポートでは、調査実施項目のうち一部の結果のみ公表

 

用語説明

  • シニアローン:裏付け不動産の第一順位の担保権等が設定された返済順位の高い貸付
  • メザニンローン:裏付け不動産に設定される担保権等が第二順位以下となる、シニアローンより返済順位が劣後する貸付
  • LTV(Loan to Value):不動産の評価額に対する貸付金額の割合(LTV=貸付金額÷不動産の評価額)
  • スプレッド:貸付人が設定する、基準金利に上乗せする利率(貸付金利=基準金利+スプレッド)

 

 

▼前回発表したレポート
【2018年10月4日発表】ジャパン特別レポート - レンダーアンケート 2018

 

PDFダウンロード

CBRE日本法人について

CBRE日本法人(シービーアールイー株式会社)は、不動産賃貸・売買仲介サービスにとどまらず、各種アドバイザリー機能やプロパティマネジメント、不動産鑑定評価などの17の幅広いサービスラインを全国規模で展開する法人向け不動産のトータル・ソリューション・プロバイダーです。CBREの前身となった生駒商事が1970年に設立されて以来、約半世紀以上にわたり、日本における不動産の専門家として、全国9拠点で地域に根ざしたサービスを展開してきました。企業にとって必要不可欠な「ビジネスインフラ」として認められる不動産アドバイザリー&サービス企業を目指して、国内約1,700名*のプロフェッショナル(*子会社を含む)が、最適かつ的確な不動産ソリューションを中立的な立場で提供いたします。詳細につきましては日本国内ホームページ www.cbre.co.jp をご覧ください。

公式Xアカウント: @cbrejapan


CBREグループについて

CBREグループ(NYSE:CBRE)は、「フォーチュン500」や「S&P 500」にランクインする、ダラスに本社を構える世界最大の事業用不動産サービスおよび投資顧問会社です(2023年の売上ベース)。
全世界で130,000人以上の従業員(ターナー&タウンゼントの従業員を含む)が、100カ国以上でクライアントに対し、幅広いサービスを提供しています。不動産売買・賃貸借の取引業務、プロパティマネジメント、ファシリティマネジメント、プロジェクトマネジメント、事業用不動産ローン、不動産鑑定評価、不動産開発サービス、不動産投資マネジメント、戦略的コンサルティングを主要業務としています。

※免責事項:本文書は貴社の責任と判断で利用いただくものであり、弊社は、貴社又は第三者が本文書に基づいて行われた検討、判断、意思決定及びその結果について法律構成・請求原因の如何を問わず一切の責任を負わないものとします。