コロナ禍で加速するオフィスの再評価 
新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、リモートワーク導入により、オフィスに対する企業の考え方が変化してきている。本レポートでは、CBREが毎年実施している「オフィス利用に関するテナント意識調査」の結果から、コロナ禍におけるリモートワークの現状を分析し、コロナ収束後のオフィスのあり方がどう変化するかについて考察した。


コロナ禍を契機として、リモートワークの導入が進んだ。現在リモートワークを導入している企業は、回答者の9割に達している。ただし、実際の実施度合いは、地方に比べて東京の方が高い。したがって、リモートワーク導入によるオフィスマーケットへの影響が最も強く現れるのは、東京と考えられる。ただし、最も影響が大きいと考えられる東京23区でさえ、リモートワーク導入を要因とするオフィス面積の減少率は1.8%程度にとどまる見込みである。


リモートワークが広く普及したことで、「常に出社して働くべき」という固定観念は払しょくされた今、改めてオフィスの役割が考え直されている。リモートワークではコミュニケーションやマネジメント、従業員の心身の健康管理が難しい。そのため、「人との繋がり」を強化する役割をオフィスに見出そうとする企業が増えている。今後は、業務の性質や従業員の業務時間に合わせてオフィスワークとリモートワークを組み合わせる、「ボーダーレス・ワーク」が広まっていくだろう。


コロナ禍を契機に、オフィス内の形を変えようとする動きも広まりつつある。オフィス内に在席するワーカー数が流動的になったことで、ABWやフリーアドレスの採用は今後加速度的に増加するだろう。また、オフィスの役割が考え直される中、コミュニケーションの質向上に資するスペースを充実させようとする意向もうかがえる。
一方で、テナントが移転先ビルを検討する際に重視する項目の上位は、「交通利便性」「コスト」「立地(知名度、業務集積度)」と、従前から変わっていない。従業員が働く場所は分散しているが、オフィスへの出社を想定した場合には、やはり大多数の従業員が集まりやすい立地が求められている。また、クライアントとのコミュニケーションも疎かにできず、業務集積のメリットも手放すことはできないという意向もうかがえる。
加えて、今後はESGに配慮したオフィスビルも移転先選定の条件として重要性が高まるだろう。