海外レポート
トランプ関税とアジア太平洋地域の不動産
2025 年 05 月 21 日 読む所要時間:約10分

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2025年1月に就任して以来、トランプ大統領は米国への輸入品に対する関税を相次いで発表しており、米国の加重平均関税率は1930年代以降でもっとも高くなっている。4月上旬には相互関税の一時停止が発表されたものの、アジア太平洋地域の多くの市場が10%以上の関税に直面している。
なかでも中国が最も高い関税率に直面しているが、5月12日には、両国間の交渉が行われる90日の間、一時的に145%から30%に引き下げられた。東南アジアのいくつかの市場も、当初予想を上回る関税の対象となっている。また、対米自動車輸出への25%の関税など、特定のセクター別関税は一時停止の対象とはなっていない。
アジア太平洋地域では、中国がカナダとメキシコに次いで米国の第3位の貿易相手国となっているほか、(2024年実績)、他に5カ国が米国の貿易相手国トップ10内に入っている。トランプ関税はこの地域に少なからぬ影響を及ぼすと考えざるを得ない。このレポートでは、関税がアジア太平洋地域の経済、不動産賃貸市場、そして不動産投資市場にどう影響し得るかを考察した。なお、当分析は、2025年5月13日時点で明らかになっている関税政策と市場環境に基づいている。