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ジャパンビューポイント - 製造業の集積と物流施設需要
2023 年 03 月 29 日
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製造業を取り巻く環境の変化が、日本の先進的物流施設需要を牽引するもう一つの潮流として注目される
ここ数年、地政学リスクの高まりやパンデミックをきっかけとしたサプライチェーンの混乱で、世界の多くの企業が生産・物流体制の見直しを迫られている。
そのような状況にあって、注目を集めているのが半導体受託製造会社大手の台湾積体電路製造(TSMC)の日本における工場新設だ。同社がソニーグループおよびデンソーと共同出資するJapan Advanced Semiconductor Manufacturing (JASM) が熊本県菊陽町に新工場を建設中で、2023年に建物を竣工、2024年までに車載用や画像センサー向けなどのロジック半導体の生産を開始する予定である。TSMCは日本での第2弾の工場建設も検討しており、日本の半導体産業、ひいては製造業全体が活性化されることが期待されている。
本レポートでは、TSMCの熊本進出の事例から、工場新設で期待される経済波及効果と物流施設の需要について考察する。物流施設の需要は、これまで大都市圏の消費財の荷動きを中心に語られることが多かった。これからは製造業が、EC化の進展と並んで日本の先進的物流施設需要を牽引するもう一つの潮流となると考えられる。