レポート | インテリジェント・インベストメント

不動産マーケットアウトルック2024

2023 年 12 月 15 日

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01   マクロ経済

日本では2024年以降も+1%程度の緩やかな経済成長が続くだろうとの見方が多い。企業業績は好調で、民間設備投資が拡大するとみられている。財貨の輸出は半導体や自動車関連が下支えすることが期待され、インバウンド需要は中国人を中心に拡大余地が残されている。一方の個人消費は、実質賃金のマイナスが続いていることから節約志向が強まる可能性がある。日本銀行も「賃金と物価の好循環が強まっていくかどうかを注視する」としており、今後の金融政策を見通す上で2024年の春闘の動向が注目される。

02   投資

2023年の日本における事業用不動産投資市場は、国内投資家が牽引し、通年投資額は前年をやや上回る見込み。ただし、2024年の投資額は2023年を下回る可能性がある。賃貸市場の需給動向の見通しを踏まえて投資家の選別姿勢が強まっていることのほか、日銀が金融政策を修正した場合、長期金利のさらなる上昇によって投資家のキャップレート目線が上がり、取引が成立しづらくなると考えられる。

03   オフィス

2022年に続き、2023年もビルのグレードアップ、立地改善などで空室消化が進んだ。空室率が上昇した都市の多くは新規供給が空室を抱えて竣工したことが上昇の要因。事業環境の改善見通しの下、今後もオフィス需要は回復基調が続くだろう。ただし、市場規模に対して新規供給が多く予定されている都市では、空室率の上昇とともに賃料の下落基調が続こう。

04   物流

4大都市圏の新規需要の合計は、2023年に初めて100万坪を超えると見込まれる。2024年問題や製造業のサプライチェーン強化の影響から、物流需要は全国に拡大している。今後も高水準の供給は続くものの、いずれの都市圏も空室率は横ばいから低下傾向で推移するだろう。

05   リテール

銀座ハイストリートでは、幅広い業態からの出店ニーズがある一方で、特にラグジュアリーブランドが求めるようなプライム立地の募集物件は希少になりつつある。タイトな需給動向を背景に銀座ハイストリート賃料は2023Q3に対前年同期で7.9%上昇し、コロナ禍直前の水準を上回った。今後も賃料は緩やかな上昇が続くと予想される。