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ジャパンメジャーレポート - 不動産マーケットアウトルック2023

2022 年 12 月 15 日

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01   マクロ経済

個人消費ならびに企業の設備投資が牽引役となり、今後も日本経済の緩やかな回復基調は続くとみられる。しかし需給ギャップは未だマイナスであることから、日本銀行は当面のあいだ金融緩和政策を継続する姿勢を明確にしている。経済の回復が続き、企業収益のみならず実質賃金も上昇する中で物価が緩やかに上昇する状況となれば、金融引き締めへの転換も視野に入ってこよう。ただしそのタイミングは早くても2023年の後半というのが多くの市場関係者の見方である。

02   オフィス

2022年に入り、グレードアップを目的とした移転は増加。ただし減床や集約の動きも多く、空室率は全体的に上昇基調。ハイブリッドワークを志向する企業が増加する中、今後もオフィスに対するテナントの選定基準は厳しくなりそうだ。多くの都市で新規供給の増加が見込まれ、当面は賃料の下落基調が続こう。

03   リテール

2023年、銀座エリアの賃貸市場は、昨年に引き続きラグジュアリーブランドが出店ニーズを牽引するだろう。ハイストリート賃料は既に底入れしており、現在は底這いで推移している。2022年Q4には上昇に転じ、その後もゆるやかな上昇傾向が続くと考える。 

04   ロジスティクス

デベロッパーが物流施設の開発に比重を移した結果、これまでにないボリュームの新規供給が全国で訪れる。需要は底堅いものの、4大都市圏全てで空室率は上昇すると予想される。

05   投資

2022年通年の日本における商業用不動産への投資額は前年をやや下回る見込み。とはいえ、期待利回りは低下傾向が続き、投資家の意欲は依然として旺盛だった。海外金利の上昇および欧米の景気後退懸念を背景に、慎重姿勢に転じる投資家が一部で見られている。しかし、日銀が金融引き締め方向に大きく舵を切ることは当面は考えにくく、2023年も、日本の不動産市場に対する投資家の需要は総じて高い状態が続くだろう。