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トランプ関税と日本の不動産市場への影響

2025 年 04 月 25 日 読む所要時間:約5分

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対米輸出額の大半を占める機械・輸送用機器に関連するテナントが、オフィスおよび物流施設の賃貸市場に占める割合は高くない。加えて、契約形態や構造的な需要ドライバーに鑑みて、既存テナントの解約による短期的な影響は限られるだろう。ハイストリートリテールへの高額品消費低迷による直接的な影響も限定的だろう。

 

しかしながら、外部環境の先行きが見えなくなったことを受けて、業種にかかわらず、テナントが新たな契約締結や拡張について様子見姿勢に転じる可能性は高まっている。そうなると、ここ数四半期にわたって極めて好調だったオフィスや店舗需要、賃料上昇の勢いは減速する。物流施設については、特に供給過剰の状態にある首都圏において、厳しい状況となることが想定される。

 

不動産投資市場については、金利上昇ペースが後退するとすれば、そのこと自体は追い風となる。また「相対的な魅力」が高まった日本に海外投資家の資金が向かう可能性や、事業会社の不動産戦略の見直しで売買市場が活発化する可能性もある。一方で、賃貸市場のファンダメンタルズ悪化の兆しが見え始めた場合、投資家は選別姿勢を強めることになるだろう。

 

トランプ関税の落としどころは未知数で、米国および各国の出方によって今後の展開は大きく変わってくる。現時点で確実に言えるのは、当初の楽観論が後退したということだ。