ショートレポート | インテリジェント・インベストメント

インフレと賃料の複雑な関係

2024 年 04 月 24 日

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2000年以降、0%付近にとどまっていた日本の消費者物価(CPI)の上
昇率が、2022年に入って加速した。2023年に入ってからは鈍化傾向に
あるとは言え、足元でもなお前年同月比+3%程度で推移している。
2%の物価目標を掲げていた日銀は、この目標値が「安定的に続くこ
とが見通せる状況になった」として、3月18日・19日の金融政策決定
会合で、マイナス金利の解除を決定した。インフレが定着する兆し
がみられる中、日本においても物価上昇を背景として不動産の賃料
上昇が期待できるかどうかに、投資家の関心が集まっている。日銀
が目指す、「賃金と物価の好循環」がみられる環境となれば、賃料の
上昇ペースも従前の水準を上回る可能性はある。しかし、事業用不
動産の市況は、依然としてセクター毎の供給動向や構造的変化によ
る需給バランスの変化の影響の方が大きいだろう。この事は、一定
の物価上昇が続いてきた海外の事業用不動産市場の過去のトレンド
からも示唆されている。