供給と需要がともに高水準で推移し、中部圏のLMT市場は新たなフェーズへ突入した。安定した製造業需要に加え、食品やEC向け物流の成長が新たなけん引力だ。高需要地域に支えられ賃料も上昇基調にある。こうした構造変化を踏まえ、今後の動向を紐解く。
2025年の新規供給、新規需要ともに過去2番目の水準
中部圏のLMT市場は過去15年で着実に拡大してきた。2025年Q4の空室率は15.5%で前年同期比2.1ポイント上昇した。2025年は新規供給19.7万坪、新規需要14.8万坪といずれも過去2番目の高水準を記録。2026年の新規供給は縮小するが、2027年は17.3万坪と再び大量供給が予定 される。既存物件の空室消化の長期化もあり、 2027年Q4時点の空室率は17.8%に達する見通しだ〔図01〕。

近年の供給拡大が需要喚起、今後も稼働床の拡大が見込まれる
東名高速道路、名神高速道路、中央自動車道が交わる小牧の交通利便性、自動車産業の集積、自治体の積極的な誘致などにより、尾張から中部圏の物流倉庫の集積が始まった〔図02〕。
2022年以降の供給拡大は需要を喚起し、この4年間で稼働床面積は2.3倍の規模となった。空室率の水準は高いものの新規需要は四半期平均2.9万坪(過去4年間)あるため、稼働床面積も着実に拡大することが見込まれる〔図02〕。



物流需要で進む構造変化、安定の製造業と食品・ECの拡大
愛知県は、製造業が県内総生産の38%を占めるなど〔図05〕全国トップの製造業基盤を持ち、中部圏のLMT需要も従来は電子・機械製品が中心であった〔図06〕。しかし産業構造の変化が進み、 2024~2025年に竣工したLMTでは同分野が30%に減る一方、食品(18%)やEC(22%)が拡大。これは製造業の安定需要に加え、日常消費財の多頻度配送ニーズの高まりを示している。充実した広域交通網を背景に、今後は継続する製造業需要に加え、小売・EC物流の成長が市場の新た なけん引力となろう。


2025年は賃料1.6%上昇、空室率高止まりも高需要地が牽引
LMT実質賃料指数は、2026年第1四半期に3,740円/坪(対前期比0.3%上昇)となった。空室率は今後も高止まりして推移するものの、実質賃料の底上げは継続する見通しだ〔図07〕。2025年1年間での賃料は1.6%増と2017年に次ぐ高い上昇率となったが、この力強い上昇基調の背景には、地域による需給バランスの違いがある。特に名古屋市中心部や三河エリアなど、旺盛な需要に対して空室がほとんどない高需要地域が、市場全体の賃料水準を引き続き強力にけん引していくと予想される。
