底堅いグレードアップ需要に支えられ、グレードA物件は高稼働を維持。
グレードB空室率も低下傾向
東京23区のオフィスマーケットは、引き続き需給が引き締まった状況にある。2026年1~3月期末のオールグレード空室率は低下し、主要5区、東京23区ともに、空室率は1%台半ばの低水準で推移した。都心主要エリアでは、募集区画が限られており、まとまった面積の確保は依然難しい。既存ビルにおいても、解約区画に早期の引き合いが入り、二次空室が目立たない。
グレードA空室率は、1%未満の水準で推移。新築・既存を問わず、グレードA物件は高稼働を維持している。立地や建物スペック、BCP性能、環境配慮などを重視した、グレードアップ需要は底堅く、短期間での成約が目立つ。グレードBも、空室率はおおむね低下傾向にあり、都心や駅近物件を中心に、安定した引き合いがある。ビルごとの競争力による選別は、一段と明確になっている。
賃料相場の上昇基調継続
主要5区、東京23区の想定成約賃料は、前期より上昇し、エリアやグレードによっては、上昇幅が大きい。空室の品薄感に加え、建築費や管理費、光熱費など、各種コストの上昇が、賃料水準を押し上げている。特に、新築や築浅ビルでは、賃料条件の柔軟性が限定的となるケースも見られる。こうした環境下で、テナント側も、賃料水準だけでなく、入居工事費や原状回復費、ランニングコストを含めた総額で、判断する動きが強まっている。物件選定では、立地や賃料に加え、入居時期や区画分割の可否、契約条件の整理が重要となる場面も多い。
また、近年では、内装をあらかじめ整えたセットアップオフィスの提供が一般化している。入居時の初期コストや工期を抑えられる点が評価され、一定の需要を取り込むケースが増加している。これにより、従来は賃料が抑えられていたビルでも、付加価値を背景に、賃料相場が底上げされる兆しがある。
移転計画の検討では、空室の品薄感を背景に、検討期間の長期化が物件確保の難易度を高めている。特に、比較検討の余地が限ら れる都心部では、一定の条件調整を前提に、複数の選択肢を並行して検討する動きが一般化している。移転時期や面積条件に柔軟性を持たせることで、成約に至るケースも増えている。今後も、好立地や競争力の高いビルを中心に、貸主優位の状況が続くと見られ、早期の情報収集と迅速な意思決定が一層重要となっている。
東京本社 久戸瀬 亮太
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