アーバンネット仙台中央ビル ウェットラボ 入居企業に訊く
生金属微細造形技術による新素材開発を手掛ける3D Architech。世界最小クラスの微細な「純銅」造形技術に強みを持ち、生成AI普及で深刻化するデータセンターの排熱問題解決に挑んでいる。同社の事業の強みや、研究開発拠点に「仙台」を選んだ独自の立地戦略、今後の展望について伺った。
3D Architech合同会社
R&D Fellow
工藤 朗 氏

独自のゲルベース金属3Dプリントで、AI時代の排熱課題に挑む
今から約10年前、まさに3Dプリンタが研究現場に普及し始めた技術の転換期のことでした。アメリカの大学で現在CEOの成田と出会い、ともに金属微細造形技術の可能性に魅せられ、研究に没頭したことが私たちの原点です。
我々の強みは、独自の「ゲルベース金属微細造形技術」により、事業化している企業の中で最も微細な、10㎛ ※1という解像度で金属造形ができる点です。中でも、熱伝導率が極めて高い「純銅」の微細な造形を得意としています。
この技術が最も活きるのが、コンピューターや電子機器の熱管理です。近年、生成AIの急速な普及により、データセンターのGPU※2がフル稼働する際の排熱が深刻な問題となっています。我々の微細な純銅構造を放熱部品などに用いることで、これまでにない安定した高い冷却性能を提供でき、この課題を解決できると確信しています。実際、台湾をはじめとする半導体・データセンター関連企業からの引き合いも増加しています。
駅前の一等地で研究に没頭できる、仙台の希少なラボ環境
海外で10年過ごし、母校の東北大学に助教として戻りました。しかしその後様々な事情が重なり、所属研究室がなくなることになってしまいました。一方、同時期にボストンで起業していた成田も物価高に悩んでいました。そこで、新素材研究の土壌があり、スタートアップ支援に積極的な仙台に拠点を構えようと相談したのです。
拠点探しで当初T-Bizを当たりましたが空きがなく、東北大で一部間借りしながら、仙台でのウェットラボ探しは困難を極め、選択肢がほぼない中、運良く完成直後の「アーバンネット仙台中央ビル」に入居することができました。
駅前のオフィスビルでありながら、薬品の使用や高温加熱が可能な環境は非常に希少です。スタートアップにとって、商談にすぐ対応できる駅前の好立地は計り知れないメリットです。新幹線駅から歩いてすぐの都市部で、最先端の研究開発ができる環境は貴重だと感じています。
東京一極集中からの脱却、仙台から世界で勝つ技術を
現在はアーバンネット仙台中央ビルに加え、T-Bizも借り、仙台の2拠点体制が整いました。同ビルでは基礎研究を進め、T-Bizでは生産用試作ラインを構築し始めています。今後は生産体制の確立に向け、より規模の大きな施設へのシフトも視野に入れています。
海外で過ごして強く感じたのは、日本の地方都市に産業を根付かせる重要性です。新しいイノベーションを東京など巨大都市圏の外からも創る必要があると考えています。最先端の素材・半導体技術の歴史を持つ仙台は、研究開発に十分な条件が揃う場所です。
我々の事業を拡大させることで、「仙台から世界で勝つ技術」を発信したい。我々が成長を続けることで、国内外の優秀な人材が憧れる場所へ。次々と新たなイノベーションが生まれ、世界を惹きつける都市「仙台」を、創り上げていきます。


会社概要 3D Architech合同会社
本社 | 宮城県仙台市青葉区中央4-4-19 アーバンネット仙台中央ビル4階 | |
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海外拠点 | 米国ボストン | |
創業 | 2022年 | |
※1 マイクロメートル。1mの100万分の1の長さ。
※2Graphics Processing Unit。主に画像描写に必要な計算処理を行う半導体チップ(プロセッサ)。