アーバンネット仙台中央ビル ウェットラボ 入居企業に訊く
生物のDNAデータを収集し、社会課題の解決を目指す東北大学発スタートアップ、GENODAS。日本の優良品種の海外流出や産地偽装を防ぐため、独自のDNA解析技術によるプラットフォーム構築を進めている。同社の画期的な技術と、仙台から描く未来の農業のあり方に迫る。
株式会社GENODAS
取締役
岡野 邦宏 氏

独自のDNA解析プログラムを武器に、産地偽装を防ぎ、日本のブランドを守る
当社はあらゆる生き物のDNAの違いを収集し、イノベーションを起こすことを目指しています。社名の「GENODAS」は気象観測システムの「アメダス」に由来しており、全国の気象データを集めるアメダスのごとく、DNAをビッグデータとして収集・活用するという当社のコンセプトが込められています。
現在は主に大学からの受託分析を行っていますが、注力している新規事業が、農産物の「品種」と「産地」を証明する技術の開発です。シャインマスカットや椎茸など、日本が誇る優良品種の海外への流出や産地偽装が深刻な問題となっています。この課題の解決は非常に公共性が高いため、あえて特定企業の資本を入れず、公的な補助金などを活用しながら中立的な立場で進めています。
具体的な取り組みとして、次世代シーケンサーから得た膨大なデータからDNAの違いを検出する当社独自のプログラム(知財出願中)で「何という品種か」を科学的に証明します。簡易化したスクリーニングキットも開発しており、税関などでの社会実装を進めています。また、元素分析などに基づき「どこで作られたか」を証明することで、産地偽装などを防ぐ技術も開発しています。
東北大学発ベンチャーとしての地の利、NanoTerasu活用を見据えた新拠点選び
当社は東北大学の支援を受け、2021年に学内の「青葉山ガレージ」で創業しました。しかし入居期限の3年が迫り、新たな拠点を探していた時、「アーバンネット仙台中央ビル」にウェットラボができると聞き、立地の良さもありすぐに入居を申し込みました。この場所の大きな魅力のひとつは、次世代放射光施設「NanoTerasu」との連携です。現在、産地の違いを証明する新技術開発としてNanoTerasuでの分析を進めており、ラボから地下鉄とバスで30分ほどでアクセスできる点はメリットです。また、ラボでの商談後に同施設内の分析室に向かうこともでき、24時間稼働しているため夜間の利用も可能など、海外からの研究者にとっても非常に魅力的な環境だと感じています。
排気設備など高度な研究環境が不可欠、東北から世界へ「知財農業」を展開
DNA抽出やPCR増幅※、次世代シーケンサーにかける作業には、遠心機などの重い機械を設置し、清掃が行き届くウェットラボが必須です。また、特殊な薬品を扱う可能性もあるため、しっかりとした排気設備などの高度な研究環境が求められます。
今後の目標は、私たちが開発した技術をパッケージ化し、海外などの現場でも品種や産地を分析できる技術として社会実装することです。日本の農産物を海外でライセンス販売し、収益を還元する「知財農業」のプラットフォームを実現したいと考えています。仙台市からの手厚いサポートを力に変え、宮城のいちごをはじめとする東北の豊かな農産物の世界展開に貢献し、ここ仙台から日本の農業の未来を切り拓いていきます。


会社概要 株式会社GENODAS
本社 | 宮城県仙台市青葉区中央4-4-19 アーバンネット仙台中央ビル4階 | |
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創業 | 2021年 | |
※温度変化と酵素の働きを利用し、微量のDNAから特定の領域を短時間で大量に複製する技術。