物流2024年問題の「その先」へ、経営層が物流に関与すべき理由

不動産戦略・動向
更新日 : 2026年10月07日掲載日 : 2026年10月07日
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~「モノが運べなくなる」
⸺そんな未来が、現実味を帯びて迫っている~

2024年4月に施行されたトラックドライバーへの時間外労働規制(いわゆる「物流の2024年問題」)を機に、日本の物流は構造的な転換点を迎えた。しかし、問題の本質は2024年という通過点にとどまらない。このまま具体的な対策を講じなければ、2030年度には国内輸送能力の約34%が失われ、日本全国で荷物が届かなくなるという試算が、国土交通省等の検討会で示されている。 物流はもはや、現場担当者や物流部門長だけが向き合う「オペレーション上の課題」ではない。サプライチェーン全体の持続可能性を左右し、企業のブランド価値や経営利益を直接的に左右する「経営課題」として、経営層が正面から向き合う時代が到来している。

図02:物流業界を揺るがす「3つの構造問題

物流業界を揺るがす「3つの構造問題」

物流危機は、複数の根深い構造問題が絡み合って生じています。1つ目は労働環境の格差と高齢化。運送業は所得水準が低く長時間労働が常態化しており、若手が定着しづらい状況です。2つ目は深刻な人手不足で、有効求人倍率は全職業平均の約2倍に達し、「物流の2024年問題」による残業規制がさらに拍車をかけました。3つ目は輸送能力の不足です。2030年度に9億トン相当の荷物が運べなくなるという試算は、物流が社会インフラとして機能不全に陥るリスクを示しています。現場任せで乗り切れるフェーズはすでに終わっているのです。

法改正が突きつけた「経営課題化」の現実

こうした危機的状況を受け、2024年に物流効率化法が改正され、2026年度より特定荷主※1および特定連鎖化事業者※2に対して、CLOの選任が義務付けられることとなりました。CLOに求められる要件は厳格で、「事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者」、つまり役員等の経営幹部からの選任が求められます。これまで物流責任者はコスト削減という減点方式の評価を受けがちでしたが、これからは中長期的な戦略を描き、物流を競争優位の源泉にする加点方式の経営が求められています。物流と不動産の戦略を統合的に描けるリーダーがいる企業とそうでない企業では、5年後の競争力に決定的な差がつくのです。

CLOに求められる「新しい視点」

CLOの皆様に必ずお伝えしているのは、拠点を単なる「箱」ではなく、経営を動かす戦略的な資産として捉えてほしいということです。最適な拠点配置や自動化設備のスペック選定は、物流の知見だけでなく不動産マーケットの知見がなければ正しい判断ができません。物流をコストセンターから戦略的資産へ転換するハイブリッド手法は、CLOが経営の武器を手にするための有力な道筋だと確信しています。

※1:物流効率化法に定める、前年度のトラックによる取扱貨物量が9万トン以上の事業者
※2:フランチャイズチェーンを展開する本部(連鎖化事業者)のうち、年間取扱貨物重量が9万トン以上の特定事業者

上記内容は 「BZ空間」2026秋号 掲載記事
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