製造業界は、3Dプリンティングにより変革しつつある。特にITおよびヘルスケア業界は、スマートフォンや補聴器等の素早い生産と複製により、多大な恩恵を手に入れる可能性が高い。一部の物流会社は3Dプリンティング業界に参入し、物流拠点の近くで 3Dプリンティング・サービスを提供し、タイムリーで効率的な部品製造ネットワークを構築している。

3Dプリンティングとは、3Dモデリング・ソフトウェアを用い、プラスチックや金属、またはコンクリートなどの素材の層を重ね合わせて3Dオブジェクトを構築する積層造形と呼ばれる技術である。また、3Dスキャナを使用することで、オブジェクトを3D複製することもできる。3Dモデリング・ソフトウェアは、最終的なモデルを数百または数千の層に「スライス」する。スライスされたファイルは3Dプリンタにアップロードされ、オブジェクトを層ごとに作製する。3Dプリンタは、スライス(つまり2D画像)を読み込み、各層をシームレスに織り交ぜて3Dオブジェクトを創り上げる。

中国では、部品の製造コストを削減し他国への依存度を下げるために、3Dプリンティング技術に多大な投資を行っている。この投資により、メーカーは、かつて他の場所で製造されていた製品を奪い返すことができた。これは生産と流通の地域化を進めるサプライ・チェーンに影響を及ぼしている。

3Dプリンティングは、米国で製造される全製品のわずか1%しか占めていないが、短期的に製造業界を震撼させる潜在性を持っている。UPSおよびCTAの報告書によると、世界の3Dプリンティング市場は2020年までに210億ドルを、また3Dプリンタ、材料、およびサービスの需要は2018年までに100億ドルを超える勢いで拡大するとしている。3Dプリンティングの利点としてコストの安定化と単価の抑制が挙げられ、それにより企業は、長いリードタイムがコスト高につながっている状況でも需要に応えることができ、オンデマンドおよびジャストインタイムでプリントすることで在庫コストを軽減。図2は、サプライ・チェーンの課題と3Dプリンティングの利点を示している。

図 2:サプライ・チェーンの課題と3Dプリンティングの利点

  サプライ・チェーンの課題 3Dプリンティングの利点
1 部品の製造コストが高い コストを安定化し単価を抑制
2 リードタイムが長い リードタイムがコスト高につながる状況でもリアルタイムで需要に対応
3 在庫コストが高い ジャストインタイムおよびオンデマンドで製造可能
4 サプライヤーから単独の部品調達 依存している特殊な機械加工業者の倒産や競合会社による買収リスクに対応
5 製造が市場から遠隔地 必要な場所で必要な時に部品製造が可能/tr>
6 輸出入コストが高い 輸出入の手数料を節約
7 機能性が低い 新部品および製品を設計でき、既存機能の制約が少ない

出典: CTA Research(2016年第2四半期)

3Dプリンティングの影響を最も受ける業界は、プロトタイプ製品が生産されるITおよびヘルスケア業界である。スマートフォンメーカーは、すでに3Dプリンティングを使用して製品を製造している(特にハードウェアおよび内製部品)。一部の医療機器企業も3Dプリンティングを活用している。ウォールストリートジャーナル紙によると、現在世界中で流通している補聴器の中で、1000万個以上が3Dプリンティングにより製造されているということである。

3Dプリンティングは、主に柔軟性、品質、およびコストの面でサプライ・チェーンに影響を及ぼす。まず、3Dプリンティングにより、カスタム製品の開発と配送を効率化すると同時に、在庫管理を向上させ、オンデマンド生産に柔軟性をもたらすことができる。次に、製品の全体的な品質は、軽量部品の使用、人間工学的側面の改善、および高度な保守サービスにより向上する。最後に、製造コストにも影響を及ぼす。ただし影響の範囲は、生産量や製造の難易度、材料、その他要因によって異なる。

3Dプリンティングが物流施設に対し、劇的な影響を及ぼす可能性は低い。ただ、3Dプリンティングがもたらすサプライ・チェーンの水平シフトで、ラスト1マイルの配送地点が生産拠点となり、同拠点の物流ネットワーク上の重要度は増すことになるだろう。また、そこに原材料を運ぶ必要が出てくるため、大量一括輸送がより重視される。これには、前述の自動運転トラックが有効性を発揮するのではないだろうか。加えて、物流ハブ拠点の必要性が弱まり、ラスト1マイルの物流施設がより重要視されるようになると思われる。

図3: 3Dプリンティングがサプライ・チェーンに及ぼす主な影響

図3: 3Dプリンティングがサプライ・チェーンに及ぼす主な影響

出典: CBRE Research & CTA Research(2016年第2四半期)

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自動運転や3Dプリンタといった技術革新が物流施設に与える影響とは?

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