オフィス移転は「物件探し」より前から始まっている
企業を取り巻く事業環境や働き方が変化する中、オフィス移転や拠点統合は、単なる引越しではなく、不動産戦略やワークプレイス戦略を見直す重要な機会となっています。
一方で、移転プロジェクトは物件探しだけで完結するものではありません。移転の目的や必要面積の整理、社内合意形成、予算策定といった準備に加え、物件選定、契約交渉、設計・工事、移転準備など、多くの工程が発生します。そのため、移転時期が決まってから動き始めると、十分な検討期間を確保できない場合があります。
さらに近年は、東京や大阪をはじめとする主要都市でオフィス需要が堅調に推移しており、空室率は低い水準で推移しています。特に一定規模以上のオフィスでは、希望条件に合う募集区画が常に市場にあるとは限らず、検討を始めたタイミングによっては十分な比較検討が難しいケースもあります。
また、人気エリアや大型区画では、募集情報が公開されてから短期間で成約に至ることも少なくありません。そのため、「空室が出てから探し始める」のではなく、「希望条件に合う物件が市場に出た際に意思決定できる状態を整えておく」ことが重要です。
このような状況から、中規模オフィスの移転であっても、要件整理から入居までに1年以上を要するケースは珍しくありません。では実際に、オフィス移転にはどのような工程があり、どのくらいの期間を見込むべきなのでしょうか。
移転準備はいつから始める?
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オフィス移転や拠点統合は、物件探しだけでなく、社内調整や契約、設計・工事など多くの工程を伴います。本資料では、オフィス規模別の移転スケジュールや重要なマイルストーンをまとめました。
資料でわかること
オフィス規模別の移転スケジュールの目安
フェーズごとの実施事項
契約開始・解約予告など重要なタイミング
移転や統合を検討する際の参考資料としてご活用ください。

なぜオフィス移転は思った以上に時間がかかるのか
オフィス移転は「物件を見つけて引っ越す」だけのプロジェクトではありません。
企業の成長戦略や働き方、人材戦略とも関わるため、経営判断から運用開始まで多くの関係者が関わるプロジェクトです。だからこそ、移転の目的や要件を整理する段階から計画的に進めることが重要になります。
物件探しだけで終わらない
移転プロジェクトでは、一般的に以下のような工程が発生します。
現状分析
オフィス戦略の検討
面積や立地条件の整理
物件探索・内見
候補比較と意思決定
契約交渉
レイアウト設計
内装工事
家具・什器の選定
IT・通信環境の整備
引越し
運用開始
一見すると移転プロジェクトは「物件探し」が中心に見えます。しかし実際には、その前段階で検討すべき事項が数多くあります。
特に重要なのは、「なぜ移転するのか」という目的を明確にすることです。例えば、コスト最適化を重視する企業と、採用競争力の向上を目指す企業では、求める立地やオフィス環境は大きく異なります。また、出社方針や将来の人員計画によっても、必要な面積やレイアウトは変わります。
こうした経営課題や事業方針を整理した上で初めて、立地や面積、オフィス仕様といった要件を具体化することができます。つまり、オフィス移転は単なる場所探しではなく、事業戦略や働き方を実現するための意思決定プロセスの一つといえます。
そのため、移転計画は物件探しを始める段階ではなく、その前の目的整理や要件定義の段階から始まっていると考えるべきでしょう。
工事期間の確保が移転スケジュールの最大の課題に
現在、多くの企業が直面しているのが内装工事期間の長期化です。
背景には建設・内装業界における人手不足や資材価格の上昇があり、以前と比べて施工会社や協力会社の確保が難しくなっています。そのため、希望する移転時期に合わせて工事日程を確保できないケースが増えています。特に大型のオフィス移転では、物件契約後に設計、見積、発注、施工といった工程が続くため、工事着工までに相応の準備期間が必要です。また、年度末や大型移転案件が集中する時期には、想定以上に工期が延びる可能性もあります。
そのため近年は、「いつ移転したいか」ではなく、「いつ工事を開始できるか」から逆算して計画を立てることが重要になっています。
移転成功のためには、物件選定だけでなく、内装工事を含めた全体スケジュールを早期に組み立てることが欠かせません。
移転スケジュールを左右する社内合意形成の重要性
オフィス移転の計画において、物件探しや契約条件の調整以上に時間を要するケースが少なくありません。それが社内関係者との合意形成です。
近年のオフィス移転は単なる所在地変更ではなく、働き方改革や出社方針、組織再編、人材戦略など経営課題と密接に関わっています。そのため経営層、総務部門、人事部門、情報システム部門、各事業部門など、多くの関係者との調整が必要になります。
特にレイアウト変更やフリーアドレス導入、出社率の見直しを伴う場合は、意思決定に一定の期間を見込んでおくことが重要です。移転時期から逆算すると、物件選定と並行して社内協議を進めることが、スケジュール遅延を防ぐポイントとなります。
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早めの検討が差を生む3つの理由
1. オフィス戦略を描く時間が生まれる
移転は、現在のオフィスの課題を解消するだけでなく、働き方や組織のあり方を見直す機会でもありますが、オフィスに求める役割が曖昧なまま物件選定に進むと、移転後にミスマッチが生じやすくなります。
時間をかけて議論することで、自社の事業計画や働き方の方向性に沿ったオフィス戦略を、関係者と丁寧に描くことができます。
2. 物件の選択肢が広がる
移転や統合を成功させるためには、自社の条件に合った物件を比較・検討できることが重要です。
東京や大阪などの主要都市では空室率が低下傾向にあり、希望する立地や規模の物件が限られるケースもあります。
早めに動くことで、より幅広い候補の中から自社に適したオフィスを選びやすくなります。
3. 社内合意を段階的に形成できる
移転プロジェクトでは、経営層をはじめ複数の部門を巻き込んだ意思決定が必要になります。
十分な準備期間があれば、予算計画や稟議、社員への説明などを段階的に進めることができます。
その結果、移転後の運用まで見据えた計画的なプロジェクト推進につながります。
こんな状況なら、検討のタイミングです
オフィス移転や拠点統合は、「移転時期が決まってから検討するもの」と思われがちです。しかし実際には、事業計画や働き方の見直しをきっかけに、早い段階から準備を始めている企業も少なくありません。
次のような項目に当てはまる場合は、移転や統合の予定が具体化していなくても、一度オフィス戦略や市場動向を確認してみることをおすすめします。
□ オフィス賃貸借契約の更新が今後2~3年以内に控えている
契約更新のタイミングは、現在のオフィスを継続するか、移転を検討するかを見直す機会です。解約予告期間によっては、移転の選択肢を確保するために早めの準備が必要になる場合があります。
□ 人員増加や組織再編を予定している
採用計画や組織体制の変更によって、将来的に必要となるオフィス面積やレイアウトが変化する可能性があります。
□ 出社方針や働き方の見直しを進めている
出社回帰やハイブリッドワークなど、働き方の変化によって求められるオフィスの役割は変わります。現在のオフィスが将来の働き方に適しているかを確認することも重要です。
□ 複数拠点の統合や再配置を検討している
拠点統合はコストだけでなく、業務効率やコミュニケーションにも影響します。統合効果を最大化するためには、早い段階から検討を始めることが望まれます。
□ 採用力や従業員エンゲージメントの向上を課題としている
立地やオフィス環境は、人材採用や定着に影響を与える要素の一つです。不動産戦略と人材戦略をあわせて検討する企業も増えています。
こうした課題は、必ずしも「今すぐ移転すべき」というサインではありません。しかし、将来的な選択肢を広く確保するためには、早い段階から市場動向や必要な準備期間を把握しておくことが重要です。
オフィス市場が変化する中では、希望条件に合う物件が常に市場に出ているとは限りません。まずは、自社の事業計画や働き方の方向性を踏まえ、「今のオフィスが将来も最適なのか」を整理することから始めてみてはいかがでしょうか。
オフィス戦略のご相談はCBREへ
オフィス移転や拠点統合の準備期間は、企業規模だけでなく、契約期間や検討エリア、働き方の方針によっても異なります。「希望エリアでどの程度の選択肢があるのか」 「更新と移転のどちらが適しているのか」 「プロジェクトをいつから始めるべきなのか」判断に迷う場合は、早めに市場動向や選択肢を把握しておくことが重要です。
CBREでは、オフィス移転や拠点統合の計画立案から物件選定までご支援しています。
