選ぶ楽しさこそ直営店ならではの体験価値。国内外のお客様にアピールできる立地戦略で、日本・アジアからグローバルブランドを目指す。
Topologie Kyoto Sanjo Store
ワーキングユニット・ジャパン株式会社
スマホのストラップやバッグなどが人気のライフスタイルブランド「Topologie (トポロジー)」。日本を主要マーケットに位置づけ、アジアからグローバルを目指す若いブランドだ。自社ECサイトでの販売からスタートし、コロナ後は直営店展開に注力。国内では今年だけで3店舗がオープンする出店ラッシュを迎えている。ブランド成長の勢いを支える出店戦略について、ワーキングユニット・ジャパン リテールマネージャーの坂井一裕氏に訊いた。
2018年創設のライフスタイルブランド、主要マーケットは日本!
ロッククライミングのロープから着想したスマートフォン用ストラップを中心に、バックやアクセサリーが人気のライフスタイルブランド「トポロジー(Topologie)」。フランス人のロッククライミング愛好家が2018年に創設した。50種類以上あるストラップは、スマホケースだけでなく、バッグやサコッシュにも付け替えることができる。それらの組み合わせを自由に楽しめる「ウェアーズコレクション(Wares Collection)」が、このブランドの売りになっている。
ブランドが広く認知されたきっかけは、2022年夏、スマートフォンを肩から斜め掛けするスマホショルダーブームだった。当初、ストラップ以外ではスマホケースが売上を牽引していたが、今ではバックやサコッシュが大きく売上を伸ばしている。
フランス人が創設したブランドでありながら、「実は日本がホームマーケットの一つ」と話すのは、トポロジーを日本で展開するワーキングユニット・ジャパンのリテールマネージャー坂井一裕氏。「ブランド創設者のカルロス・グラノンには日本在住の経験があります。日本のお客様を熟知していたという背景もあり、創設当初から日本は重要なマーケットでした」。昨年の売上を見ると、主要マーケットである香港、台湾、日本のうち、日本が45%と半分近くを占めている。
販売チャネルは、創設当初から主軸の自社ECサイトに加え、卸、直営店の3チャネル。従来は自社ECサイトが半分以上を占めていたが、ポストコロナに入ってからはグループ全体で直営店開発に注力しており、店舗での売上も伸びてきている。現在は香港に3店舗、台湾に2店舗、日本に2店舗、パリに1店舗の計8店舗を構え、日本国内ではさらに今年7月と8月に1店舗ずつオープンを予定している。エリアで見るとアジアで先行しているが、「昨年10月のパリ・マレ地区での出店を皮切りに、今後はイギリスやヨーロッパ各国、アメリカなど欧米市場の店舗開発にもグループとして力を入れていく予定です。名実ともにグローバルブランドとして展開していければ」と坂井氏は期待を込めて話す。
原宿裏通りに旗艦店オープン、「実物を見て選ぶ」体験価値を提供
ここからは、日本国内における店舗戦略について見ていこう。
2022年7月、世界に先駆けて誕生したのが、原宿にオープンした旗艦店である。「当初はトライアル的な意味合いもあり」(坂井氏)、原宿の裏通りにあった卸向けショールーム兼オフィスを店舗に改装した。この頃、従来の自社ECサイトを軸にしたデジタルマーケティングを継続しながら、直営店を軸としたオフラインマーケティングへと大きく舵を切る方針がグローバルで打ち出された。その背景について坂井氏は、「ポストコロナになり、ショッピングがオンラインからリアルにシフトしていくことが予想されたこと、また、豊富な品揃えの中から自分好みの組み合わせを楽しむという、直営店ならではの体験をご提供したいという狙いがありました」と説明する。
初の旗艦店は、裏通りの目立たない場所にあるにもかかわらず、オープン当初から今に至るまで、多くの来店客で賑わっている。坂井氏は、「元々、インフルエンサーの方々のご協力もあり、ウェブを通じて全国的にブランド認知が広がっていたことが、多くのお客様のご来店につながっていると思います。また、『実物を見て選ぶ楽しみ』を来店価値として打ち出したことで、立地面でのデメリットがカバーされていると思います」と話す。
来店客からは、「ブランド自体は知っていたけれど、実際に商品を試すことができてうれしい」「豊富な品揃えに驚いた」という声が多く聞かれるという。滞留時間も長く、中には1時間ほどかけて好みの組み合わせを選ぶ人もいる。インバウンドが戻ってからは観光客の来店も増え、売上は好調に推移している。
ポップアップストアの手応えをもとに、インバウンド客も狙える京都に2店舗目
旗艦店の出店に手応えを感じ、今年4月、2店舗目としてオープンしたのが京都三条店である。京都を選んだ一番の理由は、その前年に全国数ヶ所(東京、横浜、名古屋、京都、大阪、博多)の商業施設等でポップアップストアを出店した際、「京都での手応えが桁違いに良かった」(坂井氏)からだった。
「京都BAL」で実施されたポップアップストアは、2023年6月後半から始まり、同年10月1日まで約3ヶ月強。世界中から多くの観光客が訪れる7月の祇園祭シーズンに重なり、店は大盛況だったという。この時の様子を坂井氏は次のように振り返る。「店舗スタッフから送られてきた画像からは、祇園祭を目がけて世界中からやって来る人たちのパワーを感じましたし、実際にインバウンド客のブランドへの反応も好感触でした」。日本を代表する観光都市である京都なら、地元客のみならずインバウンド客にもアプローチできる。「グローバルブランドを目指す我々の商品と相性が良いと感じた」ことが、京都出店を強く後押しすることになった。
また、京都ではこんな出来事もあった。ポップアップストアの期間が終了し、仮囲いの中で後片付けをしていると、「トポロジーがないよ」と困惑する人の声があちこちで聞こえてきたという。「お客様からすれば、ポップアップストアなのか、そうじゃないのかの区別はつかないでしょう。トポロジーが京都にあると、普通の店舗として見えていたところもあったと思います。店があるつもりで来てみたら、ないことにがっかりされたお客様の声が聞こえてきて、ちょっとうれしかった半面、申し訳なく思いました」(坂井氏)。
専用什器で動線と見え方を工夫、「入ってみたい」と思わせる店づくり
ポップアップストアの好感触を踏まえて、「2店舗目は京都で!」の気運が高まると、すぐに物件探しが始まった。場所は、ブランディングや買い回りの観点から、京都の新たなショッピング&カルチャーエリアとして近年賑わいを見せている三条通沿いに狙いを定めた。コロナ禍を経て、空きが出てもすぐに埋まってしまう状況の中、86㎡(売場面積65㎡)の路面店舗の空室が見つかった。
物件の決め手について坂井氏は、「その空間に我々のコンセプトを持ち込んだ時に、『中に入ってみたい』と興味を持っていただける面白い場所かどうか。つまり、我々の商品は豊富な種類やカラーバリエーションがアイキャッチになるので、それが外から見ても映える空間であることが重要です。これは京都店だけでなく、今後出店する際のポイントになると考えています」と話す。また、店舗面積については、多彩な商品ラインアップとブランドの世界観を十分に表現するには、「80㎡程度が直営店開発の基準になる」という。
ストア内にブランドの世界観を表現するうえで鍵となるのが、世界共通の連結式専用什器である。ミラノ在住のデザイナー・武内経至氏の協力を得て、工事現場の足場をモチーフに開発された。スペースに合わせて高さや幅を自由に組み替えられるという点で、トポロジーのブランドコンセプトとも合致している。「がらんとした店内に商品が整然と並んでいるだけでは面白味がないので、可変式の専用什器を組み合わせることで、まるでジャングルジムのように中に引き込まれていく動線や、すべてが一望できるというより、奥に入ることで発見があるような見え方を工夫しています」と坂井氏。商品の見せ方や什器の活用法などはグループ内で情報共有しながら、「最大限その場所を生かせる店づくりを大事にしている」と話す。
京都三条店がオープンしたのは、物件探しから約半年後の今年4月。売場づくりの要は専用什器が担い、大掛かりな造作が必要なかったことも、わずか半年でのスピード出店を可能にした要因だったようだ。オープン直前には、商品陳列の作業中にもかかわらず、オープンしたと勘違いして店内に足を踏み入れる客が多かったという。「『面白そう』と思っていただける店づくりができていると実感できて、自信を持って準備を進めることができました」と坂井氏は振り返る。
さらに神戸、大阪で出店ラッシュ、2027年までに国内10店舗計画
今年はこの後、7月に「神戸BAL」、8月に「ルクア大阪」と、純粋な路面店舗ではないものの関西での直営店オープンが相次いで予定されている。「神戸BAL」については、それぞれに世界観を持った建物が点在するアネックスへの入居のため、路面店に近い形になるという。「図らずも京都から3店舗続けて関西エリアへの出店となりましたが、物件確保のタイミングが結果的に重なっただけで、東京都心部への出店計画も積極的に進めているところです」と坂井氏。その後は、 2027年までの3年間で10店舗まで増やす計画だという。原宿・京都のような路面店と、神戸・大阪のような商業施設への出店の両軸で進めていく。また、現在基準としている80㎡よりも大きなスペースへの挑戦や、各店舗ならではの商品開発についても取り組んでいく考えだという。「その土地に合ったベストな形で、既存店以上にお客様に驚きを感じていただけるよう、1店舗ずつ開発を進めていけたらと考えています」と坂井氏は抱負を語る。
| 企業名 | ワーキングユニット・ジャパン株式会社 |
|---|---|
| 施設 | Topologie Kyoto Sanjo Store |
| 所在地 | 京都府京都市中京区三条通御幸町東入弁慶石町55番地 CARO MASUNE 1階 |
| アクセス | 地下鉄「京都市役所前」駅 徒歩3分 / 地下鉄「烏丸御池」駅 徒歩9分 |
| 営業時間 | 11:00~19:30 |
| 規模 | 86㎡(26坪) |
| オープン | 2024年4月26日 |
| CBRE業務 | 施設賃貸借仲介業務 |








