CASETiFY OSAKA(ケースティファイ 大阪)|店舗出店ケーススタディ

ケーススタディ
更新日 : 2026年08月21日掲載日 : 2024年02月22日
店舗

ブランドバリューと世界観の発信を視野に入れ、心斎橋に世界初のフラッグシップショップを出店。EC主体から実店舗戦略を実践するマーケティング力。

CASETiFY OSAKA(ケースティファイ 大阪)
Casetify株式会社

CASETiFY OSAKA(ケースティファイ 大阪)

2011年に設立された、香港発のテックアクセサリーブランド「ケースティファイ(CASETiFY)」。個人で気軽にカスタムオーダーができるスマートフォンケースで人気を博し、市場に劇的な変革をもたらした。ECが主力だが2020年に実店舗を香港で初めてオープンし、以来アジア太平洋地域、オセアニアへと展開。2023年6月には大阪・心斎橋にブランド初のフラッグシップストア「ケースティファイ 大阪」をオープン。リテールマネージャーの善家弘敬氏に出店の狙いや今後の展開などについて話をうかがった。

CASETiFY OSAKA(ケースティファイ 大阪)

テックアクセサリー売上世界トップクラス、急成長を遂げたD2Cブランド

カスタマイゼーションと独自のデザインで話題を呼ぶ、香港発のテックアクセサリーブランド「ケースティファイ(CASETiFY)」。2011年、創業者兼CEOのウェス・ウンが、Instagramで撮影した写真からスマホケースを作るアプリ「Casetagram」をリリースしてスタートした。数千種類以上のデザインからカスタムオーダーができるスマートフォンケースが主力商品で、人気アーティストやアニメとのコラボレーションも盛んだ。1万円超えのスマートフォンケースも少なくないが、ソーシャルメディアやインフルエンサーを活用した戦略が功を奏し、Z世代とミレニアル世代を中心に支持されている。

2020年には世界で1億2500万ドル(約172億5000万円)の売上高を達成し、過去5年間の平均成長率が70%増、2022年の売上高は3億ドル(約414億円)以上に達した。Instagramのフォロワー数は280万人を超え、世界で最も人気のあるテックアクセサリーブランドとして名を馳せている。

創業時よりECを主販路としていたが、2020年に実店舗を香港で初めてオープン。続いて中国、韓国、日本、タイ、オーストラリア、台湾など世界10都市以上に33店を出店した。うち、日本は新宿マルイやルクア大阪、アミュプラザ博多などに7店を出店。2023年6月23日には、大阪・心斎橋に世界初となる旗艦店「ケースティファイ 大阪」をオープンした。フラッグシップストアと位置付けるショップはブランド史上、今回が初となる。

CASETiFY OSAKA(ケースティファイ 大阪)

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コロナ禍の影響で一等地に空きが続出、好条件で新築物件の確保を実現

旗艦店を出店した背景について、リテールマネージャーの善家弘敬氏は「オンラインだけではブランドの世界観を伝えきれず、さらに発信する場が必要でした」と話す。またECの売上が伸びていたことも大きい。さらなる売上アップのためには、マーケットの拡大が必然であったという。ではなぜ、ブランド初のフラッグシップストアが本家の香港ではなく、大阪なのか。この理由について善家氏は「後押しとなったのがECで培ってきたデータです。売上を国別に見ると日本は高いため、確実に数字が見込めると判断しました。また大阪はルクア大阪の1店舗のみで、お客様に対応しきれず、新たな拠点が必要であったのも背景の一つです。大阪の商業地が『北の梅田、南の心斎橋・難波』と称される通り、心斎橋に需要は絶対あると確信していました」と説明する。

とはいえ、当初から路面店と限定していたわけではなかった。従来通りショッピングモールへの出店も構想下にあったという。一方で立地調査を続ける中、視認性という観点では路面店が格段に優れていることが判明。「ブランドをアピールしていく上で、やはりショップインショップでは力不足と感じました。さまざまな可能性を考えつつ、新店はフラッグシップストアに位置付けることが決まりました」(善家氏)。

物件探しは2022年からスタート。コロナ禍でリテール業界全体が疲弊していたこともあり、多くの一等地が空いていたという。主要商業エリアをリサーチする中、辿り着いたのが心斎橋筋商店街の新築物件だ。人通りの多さからポテンシャルの高さを見込めたことが決め手となった。一方で「本国への説得には相当尽力しました」と語る善家氏。世界中の実店舗がショッピングモールに構えていることもあり、費用もこれまでにない桁違いの規模であった。香港の本社からも「採算が合うのか」と数多くの指摘が入ったという。「本国に納得してもらうために、できるだけ多くの説得材料を揃えました。路面店の出店が既存店に好影響をもたらす可能性など、一つひとつ丁寧に説明したことで最終的に合意を得られたという形です」(善家氏)。一方で、大阪きっての繁華街と言えど、海外からの知名度はそう高くない心斎橋筋商店街。人通りの多さのアピールについては入念に行ったという。現地で動画を撮影し、平日と休日の交通量の違いについても記録。信憑性を持たせるため、資料にあらゆるデータを落とし込んだ。「いかに口頭で『心斎橋は人の往来が多いですよ』と説明しても、海外の人はそう簡単に理解できるものではありません。物件の写真についても一つのアングルだけでなく、心斎橋と道頓堀それぞれから歩いてきた時の見え方など多くのシミュレーションを行いながら説明しました」(善家氏)。

コロナ禍前はインバウンドで賑わっていた心斎橋筋商店街だが、人混みを避けるため、多くの日本人があえて御堂筋を歩く傾向にあった。一方で、コロナ禍でインバウンドが減少したことにより、日本人が心斎橋筋商店街に戻っており、人通りの多さに寄与したという。

CASETiFY OSAKA(ケースティファイ 大阪)

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デザインは香港の気鋭建築家が担当、国内では初となる2フロア店舗に

新店は心斎橋筋商店街に面した3階建の建物。売り場は2フロアで、面積は1階と2階合わせて40坪弱。3階は事務所兼倉庫となっている。店舗デザインは香港の気鋭建築家、アンドレ・フー氏が手がけた。「セントレジス 香港」をはじめ、世界各地の主要ホテルやレストランのインテリアデザインを担ってきたフー氏だが、リテールストアは今回が初の試みだ。デザインのテーマは“現代の大阪”。幻想的な提灯の光に包まれる街並みからインスピレーションを受け、心斎橋の魅力を大胆な幾何学模様で落とし込んだ。ファサードは障子をモチーフにした曲線の壁が存在感を放ち、独創的なカラーやフォルム、グラフィックと見事に調和している。

物件を契約したのは2022年の9月。新築のスケルトン物件だったため、契約後はいつでも施工に入れる状態だった。「50~60坪で探していたのですが、心斎橋エリアは坪数が大きな物件が多く、探すのに少々時間がかかりました。今回の物件の契約面積としては54坪。当社が求めていたサイズに最もマッチしていたため、即決しました」(善家氏)。これまでの既存店はすべてショップインショップであるため、2フロアであることも初めての試みとなる。1階と2階で世界観を変えることで、顧客の棲み分けが可能になったのが大きな成果だという。

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急なデザイン変更、オーナーとの協議、一筋縄ではいかなかった施工現場

ブランド初の旗艦店という壮大なプロジェクトであっただけに、香港からは今までにない熱視線が注がれ、要望が多かったのも事実だ。「当初は施工会社が手配したデザイナーが設計する予定でした。そんな中、突然本社からフー氏起用決定の連絡があり現場はまさに混乱状態。あまりに急な提案だったので、思わず頭を抱えてしまいました」(善家氏)。

本社からデザイナー変更の提案があったのが2022年の12月、その翌月の1月に店舗デザインが上がってきた。日に日にオープンが近づいていたため、工期が延びることのないよう、施工業者の協力を得ながら、徹底的に調整を行ったという。

またエントランス工事も苦労した仕事の一つだ。「新築物件ということもあり、オーナーはコストをかけて作ったファサードに手が加わるのに強く難色を示しました。一方で香港サイドとしては世界観の表現として『やらないという選択肢はない』というスタンス。何度も協議を重ねたのですが、お互いが意地を張り続けてしまい、話は平行線を辿るばかり。結果的に、先方様やCBREの担当者の協力も得ながら、なんとか着地点を見つけられました」(善家氏)。また新築のスケルトン物件だったゆえ、排水設備や空調設備の導入や、3階事務所の工事にも相当な骨を折った。スマートフォンケースの作成で使うプリンターは事務所に設置する予定であったが、非常に大きなサイズのため1階から運ぶのは物理的に不可能だった。あらゆる方法を試し、最終的には3階の天板を開けて搬入するなど、課題は常に山積みだったという。

店舗スタッフの採用活動についても入念に実施。「ブランド初の旗艦店ということで、確実に数字を取る必要がありましたし、何よりもオープン当日のトラブルは絶対に避けたかった。オープン1ヶ月半前からルクア大阪店で心斎橋店のスタッフのトレーニングを開始し、現場での雰囲気をつかんでもらいました」(善家氏)。店長や副店長は経験があり信頼できる人材を配置。万全のチーム体制でオープンに臨んだ。

そして2023年6月23日、ケースティファイ初のフラッグシップストアが心斎橋にオープン。「幾多の困難を乗り越えてきただけに、無事にオープンを迎えられたことは非常に感慨深いものがありました。念には念を入れて接客の質の向上を図ったことで、オープン日に大きな混乱もなく、数字的にも満足のいく結果になったと思っています(」善家氏)。

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2024年は7~8店のオープンが目標、コラボアイテムの開発にも注力

グローバルで100店規模の新規出店を狙うケースティファイ。2023年は心斎橋店と博多店の2店のオープンを果たしたが、善家氏は「正直なところ、もっと出店したかったという思いが本音です。路面店の出店が成功し、波に乗れている今こそ積極的にアピールを仕掛けていくベストタイミング。2024年には7~8店のオープンを目標に掲げています」と話す。また既存店がある大阪、東京、名古屋、博多以外のエリアでの需要を見込んでおり、特に目を向けているという。「心斎橋店はフラッグシップストアという位置付けではあるものの、数字についてもしっかり取れている状況です。単なる広告塔ではなく、セールスブランディングとなるような店舗づくりも意識していきたいですね。また東京にも路面店を構える必要性を感じており、すでに物件探しにも着手しています」(善家氏)。

わずか数年で急成長を遂げ、スマートフォンケース市場で確固たる地位を築いた同社。今後も現状に甘んじることなく、さらなる高みを目指していくという。「ここからさらに成長することで、お客様との信頼関係もより強固に築けると言えるはずです。アーティストやアニメとのコラボにもさらに充実させ、『ケースティファイに行けば、必ず自分に合ったテックアクセサリーを見つけられる』と思ってもらえるような世界をつくっていきたいですね」と善家氏は意気込む。

企業名 Casetify株式会社
施設 CASETiFY OSAKA(ケースティファイ 大阪)
所在地 大阪府大阪市中央区心斎橋筋2-8-2
アクセス Osaka Metro御堂筋線・長堀鶴見緑地線「心斎橋」駅 徒歩3分
営業時間 10:00~21:00
規模 地上3階建(1・2階 店舗、3階 事務所)約54坪 / 売り場面積約40坪
オープン 2023年6月23日
CBRE業務 施設賃貸借仲介業務
上記内容は 「BZ空間」2023冬号 掲載記事
です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。