フレキシブルオフィス活用ノウハウ

不動産戦略・動向
更新日 : 2023年04月04日掲載日 : 2023年04月13日
オフィス

自社のニーズに最適なプロバイダーを見極めることが
Agileのメリットを享受する最大のポイント‼

CBRE アドバイザリー&トランザクションサービス|オフィス アジャイルチーム

柔軟性の高い働き方を実現する
多様性を持ったフレキシブルオフィス

フレキシブルオフィスとは、一般的に、賃貸借契約を必ずしも必要とせず、施設利用契約で利用できるオフィスの総称です。こうしたオフィスを、各種サービスと組み合わせて、商品として提供する企業を、フレキシブルオフィス・プロバイダーと呼びます。また、ユーザーの使 用目的によって、大手企業などが新規プロジェクトなどの組織単位で利用する「エンタープライズ型」、個人のパフォーマンスを高めるために利用する「サードプレイス型」、その二つを兼ねた「ハイブリッド型」に分類され、さらに契約形態にも「定額料金制」だけでなく、利用頻度に応じて支払う「従量課金制」もあります。

フレキシブルオフィスが今のようにメジャーになったのは2018年頃からで、当初はベンチャー企業や、外資系企業の日本法人立上げのための利用が主でした。その後、次第に日系企業のサテライトオフィスとして使う機会が増えてきたのですが、その背景にあるのがコロナ禍の影響によるリモートワークの増加、働き方改革の広がりにあることは間違いありません。オフィスのあり方もより柔軟に可変することで、多様な働き方にアジャストできます。そのため、一般で借りているオフィスの数%をアジャイルにする、といった企業が増えているのです。

一般オフィスとの比較〔メリット・デメリット〕

コスト・契約期間・多彩なサービスなど
際立つメリットと隠れたデメリット

では、一般のオフィスとの違いを、まずは契約面から見てみましょう。フレキシブルオフィスの最大の特徴は、文字通りその柔軟性にあります。一般の賃貸オフィスの場合、今日では定期借家契約が多く、そのためおおむね3~5年の契約期間に縛られます。それに対してフレキシブルオフィスでは最低1ヶ月、平均では8~12ヶ月の短期契約が一般的です。ですからプロジェクトに合わせたスペースの確保や、業績による人員の変動が大きいベンチャー企業などには有利と言えるでしょう。これは面積についても言えることで、一般のオフィスでは、急激な増員に対して即座に増床することはほぼ不可能。ですがフレキシブルオフィスなら、契約期間内であっても増席が可能です。ですから最初は10人で契約し、1ヶ月後に20人、3ヶ月後にはさらに20人増加といった状況に合わせてアップグレードすることができ、これこそが最大のメリットと言えるでしょう。ただし、人員減の場合は、契約期間内に席数を減らすことができないプロバイダーの拠点もあるので注意が必要です。また、運用面の柔軟性も大きいと言えます。例えば従業員100名で、リモートワーク等の兼ね合いで最大出勤人数が80名、最低人数40名の場合、一般オフィスでは仮にフリーアドレスを採用していても、80席は必要でしょう。ですが、フレキシブルオフィスならラウンジなどの共有エリアや、会議室などを活用することで契約席数を最小限にすることができるのです。

こうした柔軟性に加えて、もう一つの大きなメリットが、オフィス構築時のイニシャルコストの削減です。通常のオフィスは入居前に内装工事費、退去後には原状回復費用がかかります。特に昨今は、建築費・人件費といった内装コストが高騰しているだけでなく、工期も読みづらくなっています。対してフレキシブルオフィスは、プロバイダーがすでにハイグレードな仕様を整えているわけですから、コストがかからないだけでなく、すぐに利用を開始できるというメリットがあるのです。また執務室内のデスクやロッカーなどの什器備品といった資産を持つ必要がありません。国際会計基準では、自社ビルはもちろん、賃貸借ビルでも資産として計上しなければなりません。ですがフレキシブルオフィスなら、その必要がありません。これが欧米で早くから普及した理由の一つなのです。

そのほか、法人登記や秘書サービス、ラウンジや会議室、防災備蓄といった設備の提供に加え、プロバイダーが積極的にイベントを実施することで、他社との交流機会をつくり、コラボレーションによる新たなビジネスチャンスを創出しようという試みも行われています。

こうしたメリットに魅力を感じ、一般のオフィスの賃貸スペースを返しながら、一部をフレキシブルオフィスに移行することで、コスト削減、生産性の向上、エンゲージメントを実践しようとする企業が増えています。特にDX部門を強化したい日系企業が、技術者の新規採用をしやすくするために、より自由な仕事環境づくりとして、導入するケースが目立っています。

一方で、デメリットがないわけではありません。その一つがオフィスにより自社ブランディングをアピールしにくいこと。独自の内装やカスタマイズすることに制限があり、例えば独自のエントランスや受付などを構築したい場合は、一般オフィスよりも自由度が低くなります。また、月額使用料が一般オフィスと比べて割高なうえ、オプションサービスが限定的で高価なため、使い方によってはランニングコストが増加する可能性もあります。そのほか、セキュリティについてもWi-Fiの共有や、PC・資料ののぞき見による情報漏洩の可能性や、大勢の人間が出入りすることによる衛生面の懸念、さらにはサードプレイス型では満席で利用できない可能性もあるほか、プロバイダーの都合で急遽拠点が閉鎖されるリスクもはらんでいるのです。

フレキシブルオフィスのサービスと
コストメリットをどう考えるのか

これに対して一部のプロバイダーでは、ワンフロア専有でカスタマイズもでき、ブランディングとセキュリティの不安を一挙に解消する商品を販売するなど、ユーザーのニーズに応えるサービスが次々に登場してきています。ただし、内装工事も含め追加するサービスが増えれば、当然ながら利用する費用も高額化していきます。また、例えばハイブリッド型のオフィス構築で、社員総勢50名で25席分を確保する場合、おおむね契約席数の2倍のアカウントまではメンバー登録を認めるといった契約がスタンダードになっています。そして、それ以上何人までどのように利用できるかなど、フレキシブルオフィス利用において交渉の余地が大きく残っている点です。

コスト面での考え方としては、前述したオフィス構築時のイニシャルコスト削減分を、フレキシブルオフィスが上回る月毎の利用料、つまりランニングコストがいつ上回るのかという点がポイントでしょう。一般のオフィスは、入居工事費や退去時の原状回復費用が想像以上に高額です。賃料の差に目が行きがちですが、同一グレードのオフィスを構築するとして、利用期間3~4年ぐらいまではフレキシブルオフィスの方がコストメリットは高いと言えます。ただし、フレキシブルオフィスは、利用年数に応じて定期的に利用料が値上げされていくケースがあることも見逃せません。そのためか、継続して利用するか否か、3、4年をスパンにオフィス戦略を見直すことも多くなっています。もちろん、低廉なイニシャルコストだけがフレキシブルオフィスのコストメリットというわけではなく、出社率や確保する席数、登録できる人数、会議室やラウンジの利用規約、利用できる拠点数等、様々な要素を勘案して、比較が必要となってきます。

一般オフィスとの比較〔コストシミュレーション〕

様々なサービスから最適解を導く
プロフェッショナルとしてのCBRE

プロバイダーにはそれぞれ特徴があり、例えば圧倒的なオフィス面積で展開していることから様々な場面で利用できたり、全国を網羅するほどの拠点数を展開して一つの契約で複数の拠点を利用できるといったプロバイダーもあります。これらをうまく利用すれば、従来にない自由度の高い働き方が実現できるでしょう。ただし、各プロバイダーの拠点の立地はもとより、提供されるサービスも日進月歩で変化しており、内容も価格も様々です。そのため、ユーザー企業がすべてのプロバイダーのリアルタイムのサービスを把握し、自社のニーズに合わせてどう組み合わせれば最適かを比較検討することは、実際には不可能に近いと言えます。企業のニーズや今後の事業計画によっては、もしかしたら一般のオフィスの方が、メリットがある可能性もあります。

それらを判断するには、情報収集力やリアルなマーケットの考察力、中立な立場での分析力、一般オフィスと総合的に比較した上で多くの選択肢を用意し検証することが重要になってきます。契約後に後悔しないためにも、こうしたノウハウを蓄積しているプロフェッショナルの存在が欠かせません。その意味でも、フレキシブルオフィスはもちろん、一般オフィスも含めてサポートが可能なCBREアジャイルチームにお問い合わせいただければ、貴社の最適解を的確にご提案させていただけると考えています。

上記内容は 「BZ空間」2023年春号 掲載記事
です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。