株式会社プロロジス|プロジェクトケーススタディ

ケーススタディ
更新日 : 2026年06月17日掲載日 : 2026年06月17日
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物流不動産の先駆者が組織の壁を越えて挑む、
妥協なきワークプレイスの再構築。
「Beyond the Building」の実現を加速させる
東京・丸の内での館内移転。

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東京オフィス

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物流不動産開発のパイオニアとして成長を続ける株式会社プロロジスは、2025年8月、主要拠点である丸の内・東京ビルディング内の東京オフィスを21階から22階へ移し、ワークプレイスを刷新した。単なる手狭感の解消にとどまらず、社員が自主的に働く場所をその都度選択できるABW(Activity Based Working)の導入や、部門間のコラボレーションを誘発する空間設計など、次なる成長を見据えた取り組みである。約1年半にわたる緻密なプロジェクトをけん引した人事・総務室のキーパーソン3名に取材し、同社が新オフィスに託した、次なる成長への布石を紐解く。

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事業拡大と「Beyond the Building」、旧オフィスが抱えていた場の硬直感

米国発の企業として、強固なグローバルネットワークで物流不動産ビジネスを展開するプロロジス。その日本法人は、まだ国内に物流不動産という概念が定着する前の草創期から実績を重ね、全国各地で最新鋭の施設を開発・運営し、我が国のサプライチェーンを支えてきた。「当社は物流不動産の開発をメインとしながらも、現在ではサプライチェーン・庫内オペレーション等の最適化に関わるコンサルティングや、再生可能エネルギー事業など、お客様のニーズに寄り添う形でビジネス領域を拡大し続けています」と、バイスプレジデント 人事・総務室長の鎌田幸枝氏は語る。競合企業が急増する中、同社は単なる施設の提供にとどまらない「Beyond the Building(建物を超えた価値の提供)」という経営ビジョンを掲げ、ソリューションの幅を広げている。

順調に事業を拡大させる同社だが、その人的基盤たるオフィスではいくつかの課題が顕在化していた。人事・総務室 エグゼクティブ ディレクターの濱本勉氏は、こう振り返る。「東京本社が丸の内・東京ビルディング21階の旧オフィスに入居したのは2011年のことで、人員を収容するために執務スペースを優先的に配置したレイアウトでした。その結果、従業員同士が協業やディスカッションを行うためのコラボレーションスペースが不足していたのです」。さらに、グループ会社との物理的な分断も課題であった。REIT(不動産投資信託)の資産運用を担うグループ会社、プロロジス・リート・マネジメント株式会社(以下、PRM)が同じビル内で壁を隔てた隣のスペースに入居していたものの、相互の行き来は少なく、コミュニケーションギャップが生じていた。また、長年使用し続けてきた旧来型の家具が並ぶ固定席中心の環境は、自然発生的な交流を生みにくく、「場が硬直している」と感じさせる空間でもあった。

昨今、部門を横断したコラボレーションの重要性は様々なビジネスシーンで広く謳われているところだが、プロロジスにとってそれは、より切実な課題だった。物流不動産事業の性質上、用地取得から開発、運営に至る部門間のシームレスな連携が提供価値の最大化に直結する。さらに、前述の「Beyond the Building」を実践し新たなソリューションを創出するには、多様な知見の掛け合わせが不可欠だ。だからこそオフィスというハードの側面から、深い文脈で組織間の融合を行い、イノベーションを加速させる必要があった。こうした問題意識が、大規模なオフィス刷新へとつながっていった。

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好機を逃さない決断力と本国の信頼、外部パートナーと進める変革

移転が具体化し始めたのは2024年春。当時の丸の内・大手町エリアのオールグレード空室率は1%台に差し掛かり、ひっ迫したマーケットとなりつつある最中にあった。物件の選択肢が限られる中、入居階の直上である東京ビルディングの22階でワンフロアが空くという、絶好の知らせが舞い込んだ。言うまでもなく、東京駅前・丸の内という立地は、人を集めるという点、また利便性において絶好のロケーションであり、維持したい条件だ。そのうえ館内移転であれば、従業員の通勤やライフスタイルへ影響を与えることなく、移転に伴う煩雑な作業負担を減らし、ダウンタイムを最小限に抑えたスムーズなグレードアップ移転が実現できる。同社は日頃からビルオーナーと密にコミュニケーションを取り関係性を築いていたため、空室の情報をいち早くキャッチすることができた。この千載一遇の好機を逃すまいと、間を置かず22階への移転を決断した。

こうした迅速な経営判断を後押ししたのが、利益貢献度がグローバル各国の中でも非常に高く、また、グローバルに先駆けてイノベーティブな取り組みを行っている日本法人に対する米国本社の厚い信頼である。「東京に先だって、大阪オフィスにおいても移転計画が立ち上がっていました。東西でほぼ同時期の移転という大プロジェクトとなる見通しでしたが、日本のオペレーションは全面的に信頼されていたので、いずれもスムーズに承認を得ることができたのです」と濱本氏は胸を張る。

新オフィス構築に当たっては、自前主義にこだわらず、コンペティションを経てCBREを外部パートナーに迎える決断も下した。「働き方の多様性やABWといった最新のオフィストレンドを反映させるためには、外部の専門的な知見が欠かせないと考えました」と濱本氏。自社単独では難しい客観的なデータ分析とプロジェクトマネジメントにより、質の高いオフィス戦略の策定が可能となった。

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「自然と出会う」設計意図、ABWが促すコラボレーション

本プロジェクトは社内の声を汲み取るべく、細心の注意を払い進められた。 2024年5月、全従業員向けにアンケートを行い、働き方やオフィス環境の課題、将来への意向を洗い出した。その後各部門の代表者15名でチームを結成し、外部レクチャーや他社見学、経営層へのヒアリングを実施。さらにワークショップを重ねて新機能やABWの運用について深く議論し、これらを同年8月に「ワークプレイス戦略レポート」として集約した。並行してハード面の準備も進められた。2024年春からビルオーナーとの調整を加速させ、同年末に正式な申し込み手続きを行った。その後、策定した戦略に基づき、タイトなスケジュールの中で内装設計や各種工事を迅速に進め、2025年8月の移転完了に漕ぎつけた。従来は約577坪の床面積だったが、新オフィスは約918坪と、実に約1.6倍もの拡大を果たした。

移転実務に携わった人事・総務室 ディレクターの茨城千佳子氏は、こう解説する。「CBREと協力し、算出した緻密なデータをもとに、各部門の働き方に合わせた最適な要件を導き出しました。画一的な完全フリーアドレスではなく、業務特性に応じた固定席も残しつつ、一人で集中するフォーカスブースやオンライン会議用フォンブースを的確な数だけ増設しています」。新オフィスの目玉は、フロア中央の広大なカフェ・イベントスペース “Tokyo Lounge”だ。「例えば、カフェでコーヒーを淹れる時間に偶発的な情報交換が生まれるなど、従業員が自然と出会う動線を意識しました。これまで交流が少なかったPRMとの共用スペースであるため、両社の交流を促進させる狙いもあります」と茨城氏。最大150名が着席できるこのエリアは、日常的な憩いの場にとどまらず、外部の来訪者を招いたイベント、社内研修の実施やケータリングを入れた懇親会など、目的や規模に応じた多様なイベントを完結できる機能を備えている。

Tokyo Lounge

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フロア中央の広大なカフェ・イベントスペース 。従業員が自然と出会う動線を意識しており、グループ会社との偶発的な情報交換や交流を促進させる狙いがある 。

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日常的な憩いの場にとどまらず、最大150名が着席でき、研修や懇親会など多様なイベントに対応可能 。

社員の歓声から始まる新たな歴史、挑戦する姿勢を体現するオフィス

特筆すべき点として、館内移転であったにもかかわらず、什器類はすべて新しいものに入れ替えたことも挙げられる。「10年先までの使用を見据えて、できるだけグレードの高い什器を採用しました。これによりオフィス環境のトーンも穏やかで洗練されたものに変え、社員の意識改革を促す大きなきっかけとしました」(茨城氏)。この一事にも象徴されるように、多額のコストを伴うプロジェクトだったが、それでも果敢に実行した背景には「人生の3分の1を過ごすオフィスで満足感を得られなければ、人生の満足感は得られない。従業員のためにコストをかけてでも本当に良いオフィスをつくってほしい」という、経営層の強い意志と明確なポリシーがあった。

このような妥協のない決断が功を奏し、早くも確かな手応えがあった。まず、移転直前に行われた社員向けの内覧会では、新オフィスの広さや様変わりに多くの社員から驚きと感嘆の声が上がったという。また、移転後のアンケートにおいても、大多数の従業員が新オフィスに満足していると回答しており、柔軟な働き方を可能とする充実した設備をはじめ、ゆとりある座席のレイアウト、そしてエントランスに漂う独自の心地よい香りなどのディテールに至るまで、好意的に受け止められている。

今後、新オフィスが果たす役割について濱本氏は「当社が掲げる事業運営方針『Vision 2030』では、プロフェッショナルとしてともに進化し、お客様に寄り添いながら新たな事業の柱をつくっていくことを目指しています。今回構築したイノベーションと交流のプラットフォームは、まさに私たちが常に変化し、アグレッシブに挑戦し続ける姿勢を示すものです」と熱を込める。新たなワークプレイスから生み出される密なコラボレーションと従業員の熱量は、物流不動産のパイオニアをさらなる高みへと押し上げていく原動力となるだろう。

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プロジェクト概要

企業名 株式会社プロロジス
施設 東京オフィス
所在地 東京都千代田区丸の内2-7-3 東京ビルディング 22階
延床面積 918坪
座席数 240席
稼働開始日 2025年8月
CBRE業務 オフィス設計・ワークプレイスコンサルティング、T&Tによるプロジェクトマネジメント
上記内容は 「BZ空間」2026夏号 掲載記事
です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。