次世代インフラ開発・運営の
リーディングカンパニーが、
ALFALINKコンセプト「Open Hub」を
新オフィスでも実現!
日本GLP株式会社
東京オフィス
次世代の社会インフラである物流施設、データセンター、再生可能エネルギーと関連テクノロジーのビジネスビルダーであり、施設を開発・運営する日本GLPは、2022年12月、東京オフィスを20年間拠点とした汐留から東京ミッドタウン八重洲に移転した。すでに10年前からフリーアドレスを導入している同社が新オフィスで実現しようとしているのは、社外にも開かれた価値共創の場を提供すること。来客エリアの受付廃止、執務エリアに設けられたカフェやキッチンなど、大胆かつ考え尽くされたオープンハブ型オフィスの全貌を取材した。
新分野参入の節目に
手狭になったオフィスを移転
日本GLPは、物流施設、データセンター、再生可能エネルギーと関連テクノロジーのビジネスビルダーであり、施設の開発・運営を行うGLPの日本法人で、2009年に設立された。国内で開発・運営する施設は約170棟、総延床面積約1,100万㎡、顧客は240社超を抱えている。2021年より相模原と流山で物流施設の新ブランド「ALFALINK(アルファリンク)」を展開し、単に効率的で最適な物流をめざすだけでなく、入居企業同士をつなぎ新たな価値創造の拠点となる物流施設を提供している。
また昨年は、物流不動産事業に並ぶ柱として新事業領域への進出も発表。近年のクラウドサービスの急伸に伴い、物流施設開発の知見を活かしてデータセンターの構築に乗り出すほか、データセンターや既存物流施設で必要とされる電力を調達するための再生可能エネルギー事業に本格参入を決めた。こうした物流不動産分野での実績を活かした新分野への積極的な展開が、同社の競争優位性を加速させていると言える。
好調な事業拡大を背景に、昨年12月、同社は東京オフィスを、20年間拠点にした汐留シティセンターから東京ミッドタウン八重洲内の八重洲セントラルタワーに移転した。直接の引き金となったのは、過去3年間で社員が340名へと倍増し手狭になったこと。移転プロジェクトを率いた常務執行役員の藤岡洋介氏は、「汐留シティセンター内では拡張が難しく、また、今後新規事業を積極的に展開していこうとする節目でもあり、移転を決めました」と話す。
2021年から移転先を探し始め、2022年1月には当該タワー16階に決定。決め手は、ワンフロア全体を借りられることだった。「フロアが分かれることで、『私はX階の人、あの人はY階の人』などと無意識のうちに社内が分断するのを避けるため、ワンフロアにこだわりました。今後の社員増とオフィスに社員が戻ってくることを視野に入れ、旧オフィスの2倍超の広さにしました」と藤岡氏。この面積と立地の良さを考慮すると、移転先の選択肢はあまり多くなかったであろう。
旧オフィスの契約満了日の関係で、移転時期は2022年12月に決まった。移転先ビルの竣工は同年8月末であり、その後すぐにB工事に取り掛かれるよう、それまでに新オフィスの仕様をすべて固めておく必要があった。移転先決定から引っ越しまで1年足らずの超過密スケジュールとなったわけだが、外資系企業の場合、本国の承認などに時間を要する傾向があることが本企画の過去取材からも分かっている。その辺の問題はなかったのか尋ねてみると、意外な答えが返ってきた。「当社では、『真のグローバル企業は本社を持たない』という考えから、各国のビジネスの意思決定は現場に移譲されています。従って、グローバル各国への情報共有や報告は行いますが、いわゆる『本社』の決裁を待つというプロセスは全く必要ないのです」(藤岡氏)。
フリーアドレスはすでに導入済み
めざすのは「価値共創の場作り」
では、どのように移転プロジェクトを進めていったのか、具体的に見ていくことにしよう。最初に着手したのは、新オフィスを共に構築していくパートナー選びだった。2022年2月には、プロジェクトマネジメント会社としてCBRE、デザイン会社としてゲンスラー・アンド・アソシエイツ・インターナショナル・リミテッドの参画が決まった。また、プロジェクト開始に先立ち、プロジェクト名の社内公募が行われ、「一新」「一心」「一身」の意味が込められた「Isshin」が採用された。メンバーにはICTや施設開発など様々な専門性を持つ5人が選ばれ、移転プロジェクトがスタートした。
どんなオフィスにするのか、それをどうデザインに落とし込むのか。この議論に相当の時間を費やしたという。実は、同社は10年前から旧オフィスでフリーアドレスを導入しており、いわゆる “新しい働き方”では一歩先を進んできた。最近のオフィスの課題としては、「リモートワークの浸透と社員数の急増により、お互いの顔が分からないメンバーが増え、ちょっとした立ち話からアイデアが生まれるなどの有機的なコミュニケーションが減っているのを感じていました」と藤岡氏。そこで新オフィスでは「Open Hub(オープンハブ)」を意識して、社員同士のみならず、社員と顧客、パートナー企業との共創関係を醸成するような場を作っていくことにした。
この「Open Hub」は、前出の物流施設ブランド「ALFALINK」のコンセプトの一つでもある。「我々は物流施設の運営において、ALFALINK内のレストランやカフェ、マルチコートを地域住民にもご利用いただけるようにしているほか、定期的なコミュニティイベントの開催で物流をより身近に感じていただく施策を実施しています。また入居企業様同士の交流を促進することで新たな価値創造が連鎖的に広がっていくことをめざしています。そうした価値共創につながる働き方を新オフィスでも実現したいと考えました」と藤岡氏は話す。
オープンで広い来客エリアには
受付を置かない。その狙いとは?
オープンハブを象徴する新オフィスの目玉が、「Isshin Hub」と名づけられた来客エリアのカフェスペースである。オフィス全体の約4割を占めるこのオープンスペースは、同社を訪れた人がアポイント前後の時間を快適かつ有意義に過ごせるように設けられている。特筆すべきは、従来あった受付機が廃止され、約束の時間になったら社員が出迎えるスタイルに変わったことだ。「受付があると、お客様同士で会話したりするのがはばかられる雰囲気があって、打ち合わせや会議のためだけに来社することになりがちです。そうではなく、お客様同士またはお客様と社員の間で偶発的な会話が生まれ、新たなビジネスにつながるような場にしたいと考えました」と藤岡氏は受付廃止の狙いを話す。
ただし、オープンであることは、「誰でも入っていい」ということではない。開放的な来客エリアを実現する裏で、高度なセキュリティシステムの存在も忘れてはならない。同社の場合、来客者には事前にQRコードを発行してビルへの入退出を管理するほか、社員の入退館については最新の顔認証を採用した。「使う人に違和感やストレスを与えず、かつ目に見えないところでしっかりと安全性が担保されることがICTの重要なポイントだと思います」(藤岡氏)。
執務エリアは、社員同士のコミュニケーションが活性化するよう場がデザインされている。可動式ホワイトボードが設置されたコラボレーションエリアや、テーブルや椅子を自由に動かしてレイアウトできるフレキシブルエリア、カフェスペースもあるほか、一人で作業に専念したい時に使える集中ブースも設置し、自分の働きたいモードからワークスペースを選べるようになっている。また、来客エリアには今後増えると予想される対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド会議にも対応できるよう、防音が施されたWeb会議室も整備。リモート参加者に疎外感を感じさせないようなシームレスなWeb会議システムや、オンライン上にもリアルタイムで共有できるホワイトボードなども取り入れている。
同社ではすでにフリーアドレスが導入されていたこともあり、移転や移転に伴う働き方の変化について社内でコンセンサスを得るのにさほど苦労はなかったという。また、コロナ禍での移転プロジェクトではあったものの、同社ではコロナ前からリモートワークが実践されており、プロジェクト遂行上の不都合もほとんどなかったようだ。
それよりも頭を悩ませたのは、「限られた予算でやりたいことを最大限に実現するにはどうすればいいか」だったという。優先順位を明確にし、必要なものにはコストをかける一方で、そうでないものは節約を徹底した。例えば、状態の良い家具は新オフィスでも流用したが、会議室や執務テーブルは手元にコンセントがついたものにすべて買い替えた。「机上の電源タップからのタコ足配線は見栄えが悪いので、スマートに見せる部分ではこだわりました」と藤岡氏は話す。
共創を体現するイベント開催し
社外に開かれた新オフィスを披露
取材したのは、引っ越しから3ヶ月が過ぎた今年3月末。来客エリアのカフェスペースの評判は上々で、「余裕を持って来てアポイント前にメールチェックなどができてよかった」「景色も開放的で、駅中の混雑したお店で過ごすよりも快適。次のアポイントまでの空き時間をここで過ごせて助かる」などの声が届いているという。
3月15日には、このオープンスペースを使って「GLPコンシェルジュ マッチング・サロン」が開催された。同社は2021年4月より、顧客企業の物流現場で生じる様々な課題、例えば輸配送網の整備や人材確保、備品・資機材の手配などをワンストップで解決・支援する「GLPコンシェルジュ」サービスを提供している。マッチング・サロンは、課題を抱えている企業とそれを解決できる企業をつなぐ個別商談会であり、コンシェルジュサービスを顧客企業に浸透させる目的で行われた。「通常なら、どこかの会議室やセミナールームを借りて開催するのかもしれませんが、我々がめざす『共創』を体現するイベントを、新オフィスを象徴するIsshin Hubでできたことはよかったと思っています」と藤岡氏。
また、Isshin Hub内のカフェやキッチンは、社員同士の懇親会に使われるだけでなく、顧客への接待でも活躍している。先日は出張シェフに来てもらい、フルコースの料理を振る舞った。「銀座の高級レストランでの接待よりも、お客様の記憶に残る時間になったと自負しています。キッチンは思いつきで作ったのではなく、価値共創の場に必要な機能だから作りました。これからも活用していきたいと思います」。続けて、「これが完成だとは誰も思っていません」と語る。社内では、今の状態を「移転初日に必要なものは十分に揃った」という意味で「Day1」と表現しているという。「今後、社員が増えたり、ビジネスの局面が大きく変化したりする時に、オフィスにどのような機能が必要かを見直して、しっかりとアップデートしていくことが重要だと思っています」と、藤岡氏は今後への取り組みを語る。「価値共創」を体現できる新オフィスを構築した同社が、これから社内外でのコラボレーションやイノベーションをどのように生み出し、発信していくのか、注目していきたい。
GLPコンシェルジュ マッチング・サロン
| 企業名 | 日本GLP株式会社 |
|---|---|
| 施設 | 東京オフィス |
| 所在地 | 東京都中央区八重洲2-2-1 東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー16 階 |
| 稼働開始日 | 2022年12月 |
| 人員 | 約340人 |
| 規模 | 約1,240坪 |
| CBRE業務 | 本社構築に向けた物件紹介・仲介、プロジェクトマネジメント |






