日本郵便株式会社|プロジェクトケーススタディ

ケーススタディ
更新日 : 2024年03月12日掲載日 : 2023年10月12日
倉庫

福岡に地域密着型3PL事業拠点を開設。ワンフロアをロボティクス化に特化し、深刻化する人手不足に立ち向かう。

日本郵便株式会社
福岡物流ソリューションセンター

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日本郵政グループにおいて郵便・物流事業、金融窓口事業、国際物流事業の3本柱を展開する日本郵便株式会社。インターネットの普及や通信手段の多様化により、近年ではゆうパックを中心とした物流事業を強化。郵便事業で培った薄型荷物への優位性を活かす形で、物流戦略の設計から運用までを行う3PL事業に注力している。“物流の2024年問題”や人口減少による労働力不足を踏まえ、2023年4月、ワンフロアをロボティクス化した「福岡物流ソリューションセンター」を福岡県糟屋郡久山町に開設。拠点構築の背景や実施時の課題、今後の営業戦略などについて、執行役員 五味儀裕氏に話を訊いた。

日本郵便株式会社

3PL事業と他社協業を中心に、国内B to B物流事業に注力

日本郵政グループの一員として郵便・物流事業、金融窓口事業、国際物流事業を展開してきた日本郵便株式会社。1871年より長きにわたり日本の郵便事業を担ってきたが、通信手段の多様化を受け、郵便を取り巻く環境は刻々と変化。国内郵便物数のピークは2001年で約262億通だったが、2021年では約150億通と大幅に減少した。一方でEC市場の成長により、ゆうパックを中心に物流事業は年々拡大。民営化以降は国内B to B物流事業の強化に乗り出している。

その一つが商品の保管から配送までの物流業務をワンストップで提供する「3PL事業」だ。効率化のため業務をアウトソースしたいという事業者が急増しており、そのニーズに応えるべく、2014年から物流ソリューションセンターの創設に着手。現在、全国に25拠点の営業倉庫を有し、そのほとんどが郵便局に併設する倉庫だ。郵便局一体型であるため荷物の保管後、速やかに出荷することが可能で、配送ネットワークとのダイレクトなつながりが強みと言える。

また全国約24,000の郵便局のネットワークを活かした取り組みも幅広く実施している。 2024年度末を目途にヤマト運輸株式会社との提携による物流サービスを開始予定。ヤマト運輸が預かったメール便などの荷物を日本郵便の配送網で配達するというものだ。両社の経営資源を有効活用することで、2024年問題やカーボンニュートラルなど、物流業界が抱える社会課題の解決をめざしていく。執行役員 五味儀裕氏は次のように話す。「ヤマト運輸さんと当社は言わばライバル同士。ですが、物流を取り巻く環境の変化に対応するには、競争で消耗するのではなく、お互いの強みを活かすことでビジネス拡大が狙えると考えました。さらにJPロジスティクスグループ株式会社やJP楽天ロジスティクス株式会社など関係会社との協業も目下強化中です。他社との協業を3PL事業と連動させる形で、物流事業全体の拡大を見据えています」。

物流ソリューションセンターは新設、増設ともに郵便局とのつながりを重視していたが、今後、都市部においては顧客の拠点に近い場所へ展開していく予定と五味氏は説明する。「お客様のマーケティング戦略についても支援する必要性を感じています。商材に特化したサービス提供にも注力していきたいですね」。

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2階はワンフロア機械化に特化し、効率的な庫内作業と人員削減に成功

3PL事業を全国に拡大する中、2022年秋には福岡県糟屋郡久山町に「福岡物流ソリューションセンター」を開設。道路を挟んだ向かいにある新福岡郵便局は九州最大の物流拠点となるハブ郵便局だ。隣にはJP楽天ロジスティクスの倉庫があり、またJPロジスティクスの拠点も近距離と、一帯は日本郵便関連の九州一大物流拠点と言える。さらに博多港へは車で約20分、福岡ICからは約5分という絶好の立地だ。地上4階建でワンフロア約1,500坪、総面積約6,000坪を有する。

労働力不足問題の解決の先駆けとして、物流技術への投資が重要であると捉え、2階は機械化に特化したフロアとした。同社の3PL事業としては初となる試みだ。効率的な庫内作業を目的に、ケース自動保管システムをはじめ最新機器を導入。さらに有効高や保管スペースを最大限に活用するため、マルチシャトルシステムを採用した。12段で構成され、在庫保管オリコン数は最大11,500個。通常の棚では空間が空いてしまいがちだが、マルチシャトルの活用により高密度で効率よく保管することができる。

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梱包エリアには薄型小物にも対応する自動梱包機を設置。梱包からラベル印字・貼り付けまで自動化されており、人の手を介すことなく確実な手順を実行できるという。「ゆうパックは1日あたり8,000個、ゆうパケットは10,000個の出荷が可能です。実は福岡は健康食品やサプリメントの通販が盛んで、薄型小物の荷物が多い土地柄でもあります。他社では導入が進んでいないゆうパケット等の薄型荷物専用のマテハン機器を取り入れることで、当社の強みを活かせるうえ、幅広いニーズにお応えできると考えました。また近年の通販業界では購入履歴に応じてチラシを同封するのが通常となっているため、チラシ丁合を自動で行う機械も導入しました。これも福岡物流ソリューションセンターの特徴の一つです」。

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保管効率は従来の保管方法の3倍、作業自体はおよそ2倍となる1時間あたり1,000件超の出荷が可能。2階は商品格納、保管、ピッキング、梱包、区分など6つのエリアで構成されており、最小限の作業員で対応。作業員の削減を実現したのも大きな変化だ。「4月の稼働後はスポット案件を含め、おかげさまで多くのご相談を頂戴しています。その理由の一つはやはり立地の良さだと思います。福岡空港や博多駅だけでなく、アジアからの玄関口となる博多港に近いことも関係しているのは間違いありません。福岡は古くから積極的に新しいことにチャレンジするという風土があり、今回の機械化拠点の構築はそういった気風にあやかったとも言えます。今後、3PL事業を展開していくうえでの重要な拠点となるでしょう」。

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倉庫以外の領域でも機械化は不可欠、人手不足解決には物流技術への投資を

福岡物流ソリューションセンターで採用した機械化技術群は、今後の拠点拡大における試金石となったと話す五味氏。「九州の物流拠点である福岡は、アジア各国との輸出入における要所でもあります。物流の動向が見えるうえ、多くの好条件が揃っているため、新たな付加価値が生み出されることを期待しています。事業者からのフィードバックを踏まえながら、さらなる拠点拡大を計画していきたいですね」。

日本ではトラックドライバーのみならず、労働集約的な産業全般で働き手の確保が年々難しくなっていると指摘する五味氏。これらの社会問題は避けられない動向であり、解決に向けて物流技術への投資は大きなカギとなると強調する。「完全無人化は難しいものの、少なくとも人とロボットが協働して、オペレーションを組み立てることはこれからの時代には不可欠でしょう。当社としても常にアンテナを張って世の中の技術動向を見ながら、機械化できるものについては前向きに導入するというスタンスです。郵便局で使用する物品等の作業を行う社内物流センターでは、スタートアップ企業と連携した搬送技術の導入を検討していますし、2021年に開設したJP楽天ロジスティクス倉庫についても機械化は進んでいます。そこで培ったノウハウも上手く組み込み、さらにPDCAを上手く回していければと思います。機械化は業務の効率アップに貢献するものの、故障した場合は完全に止まってしまいます。つまり導入して終わりではなく、保守体制まで含めて運営を考えなくてはなりません。『新たな技術を導入したい』と言うのは簡単ですが、現場に落とし込むという点では一筋縄ではいかず、難しい面も多々あります。福岡の成果を見ながら、さまざまな技術戦略を考えていきたいと思っています」。

さらに倉庫業務以外の機械化についても注視していると語る五味氏。2023年2月に開局した市川南郵便局では、同社では全国初の導入となる最新式ソーティングマシンを複数機種採用した。「機械化の導入は倉庫以外の領域でも推進しています。人手不足問題に立ち向かうためには機械化はもはや必須のテーマ。社会課題解決の先駆けとなる福岡での取り組みは大きな意味を持つと確信しています」。

日本郵便株式会社
執行役員
五味 儀裕

日本郵便株式会社 執行役員 五味 儀裕氏
企業名 日本郵便株式会社
施設 福岡物流ソリューションセンター
所在地 福岡県糟屋郡久山町
建物概要 鉄筋コンクリート造、4階建
主要用途 営業倉庫
延床面積 約22,000㎡(約6,700坪)
倉庫設備 ドックレベラー6基、貨物エレベータ2基、垂直搬送機2基
CBRE業務 賃貸仲介
上記内容は 「BZ空間」2023年秋号 掲載記事
です。本ページへの転載時に一部加筆修正している場合がございます。