全ての都市で空室率が改善 東京「丸の内・大手町」エリアのグレードA賃料は対前期比1.9%と大きく上昇
CBRE(日本本社:東京都千代田区丸の内)は本日、2014年第4四半期の全国13都市オフィスビル市場動向を発表しました。
【注目動向】
- 東京のグレードAの空室率は対前期比0.7ポイント低下して4.1%と3期ぶりに改善に転じる
- 大阪のグレードAの空室率は対前期比0.1ポイント低下して8.1%に
- 名古屋のオールグレードの空室率は対前期比0.5ポイント低下して6年半ぶりに6%を下回る
- 全ての地方都市で空室率は改善
東京23区
東京のグレードAの空室率は対前期比0.7ポイント低下して4.1%となり、3期ぶりに改善に転じました。またグレードAの想定成約賃料は対前期比0.9%上昇し、32,200円/坪となりました。今期(Q4)竣工した「日本生命丸の内ガーデンタワー」は、三井物産の大手町の本社ビル建て替えに伴う1棟借りにより満室稼働となった他、新築ビルの募集区画や、既存ビルの二次空室などの空室在庫も消化されました。最も高額である「丸の内・大手町」エリアのグレードA想定成約賃料の水準は、対前期比1.9%と大きく上昇して42,600円/坪となりました。空室率が1%台と需給の逼迫した同エリアがマーケット全体を牽引し、今後は他グレードや他エリアの賃料水準にもその影響が波及していくと考えられます。
東京23区全体のオールグレードの空室率は対前期比0.3ポイント低下の4.1%となりました。集約移転や館内増床の動きが継続し、複数のビルで空室在庫が大きく消化されていますが、ワンフロア単位での空室在庫の減少に伴い、大口の移転事例は少なくなっています。また、今期竣工した中規模ビルでも、同一規模でBCP対応可能な最新スペックを持つビルが少ないため、満室での稼働となりました。一方、新築ビルへの移転によって発生した二次空室もみられますが、1,000坪以上の大きな空室在庫の発生はほとんどなく、空室在庫となる前に、立地や設備改善を目的とした移転や館内増床によって消化されているようです。
ビル営業統括部エグゼクティブディレクター統括部長の丸山秀樹は、「今期は消費税増税に伴う景気の落ち込みや年末の総選挙の結果待ちなどの影響により、2014年前半の動きから比べれば成約に至る事例は少なかった。ただオフィス床に対する引き合いは強く、2015年に竣工するビルを含め、テナントとオーナーとの賃料ギャップは徐々に埋まりつつある。今後、季節的に移転が活発化する春先にかけてオフィス床を検討する動きは再加速していくものと思われる」とコメントしています。
大阪
大阪グレードAの空室率は、対前期比0.1ポイント低下して8.1%となりました。2013年Q1に観測開始以来ピークの18.2%を記録して以来、加速度的に低下していましたが、今期は大型移転が少なかったため、低下ペースが鈍化しています。またグレードAの想定成約賃料は対前期比0.5%上昇の19,300円/坪となりました。大阪のオールグレードの空室率は対前期比0.4ポイント低下の6.4%となりました。中堅・中小企業の新設、拡張移転、立地改善、ビルグレード向上といった積極的な動機の移転が相次ぎ、順調に空室在庫が消化されています。
CBRE関西支社長の上遠野孝は、「今期はグレードAの空室率の低下が鈍化したが、グレードBの空室率は順調に低下した。2014年の年初は大企業による大型ビルへの移転が中心であったが、最近は中堅・中小企業の移転が増えてきている。期を追う毎に需要の裾野が拡大しているようだ。今後もマーケットは好調を維持するだろう」と述べています。
名古屋
名古屋グレードAの空室率は対前期比0.2ポイント上昇し2.6%になりました。コスト削減目的の移転によって空室が発生したことが主因です。ただし、そもそも空室在庫が少ないため、テナントの動きはほとんどみられません。想定成約賃料は21,500円/坪で、前期に比べて50円の上昇にとどまっています。一方、名古屋のオールグレードの空室率は対前期比0.5ポイント低下して5.7%になり、リーマンショック前の2008年6月以来、6年半ぶりに6%を下回りました。館内増床に加えて、建て替えに伴う移転、また事業部の一部を郊外の自社ビルから中心部のビルへ拡張移転した事例などがみられ、空室在庫の消化が続いています。
CBRE名古屋支店長の藤本隆博は、「前期から引き続き堅調な需要によって空室は消化されている。今後は建築中のビルや、テナント移転後の二次空室の動向に注目が集まるだろう」と述べています。
全国の市況
空室率は、調査対象13都市全てにおいて前期に比べて低下しました。企業の立地改善や拡張ニーズは依然として強く、館内増床に加えて、郊外から中心部への移転や利便性の高い主要駅への移転など、企業の旺盛なオフィス需要は続いています。また全国的に空室在庫が少なくなり、テナント解約後も募集前に後継テナントが決まるケースや、館内増床では足りずに分室によってオフィス床を確保する事例がみられます。2014年に続き2015年も新規供給が抑制される都市では、移転需要の潜在化も懸念されています。
想定成約賃料は13都市中9都市で上昇しました。東京では全グレードで賃料が上昇し、「横浜」「さいたま」など首都圏のその他のエリアでも上昇傾向がみられます。また地方都市では「札幌」で4%と高い上昇率になっていますが、東京や他の地方都市と比べて割安な地域については空室率の低下とともに、賃料の上昇圧力は強まりつつあります。
全国の空室率・想定成約賃料
東京
大阪
名古屋
全国10都市空室率
全国10都市想定成約賃料
調査概要
調査対象 | 当社が独自に設定した全国13都市のオフィスエリア内にある、 原則として延床面積1,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した賃貸オフィスビル |
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空室率 | 空室は、集計時点で即入居可能であるものを対象とする |
想定成約賃料 | 対象ビルのサンプル調査に基づく想定成約賃料 (共益費を含み、フリーレント等のインセンティブは考慮しない) |
グレード (東京・大阪・名古屋) | グレードA 原則としてオフィス集積度の高い地域(*)に所在する基準階面積350坪以上(東京は500坪以上)、貸付総面積6,500坪以上、延床面積10,000坪以上、築11年未満のビル (*)東京:主要5区を中心とする、大阪:北区・中央区・淀川区を中心とする、名古屋:中村区・中区・東区・西区を中心とする、オフィス集積度の高い地域 グレードAマイナス(東京のみ) 原則としてオフィス集積度が認められる地域に所在する基準階面積250坪以上、貸付総面積4,500坪以上、延床面積7,000坪以上、かつ新耐震基準に準拠した賃貸オフィスビル グレードB 原則としてオフィス集積度が認められる地域に所在する延床面積2,000以上(東京は基準階面積200坪以上、延床面積7,000坪未満)、かつ新耐震基準に準拠した賃貸オフィスビル |
グレードA 対象ビル(2014年12月期) 東京:77棟、大阪:25棟、名古屋:7棟
各都市のマーケットデータおよび市況の解説詳細は、1月29日発刊の「ジャパンオフィスマーケットビューQ4 2014」または弊社ホームページ上でもご覧頂けます。http://www.cbre.co.jp
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CBREグループ(NYSE:CBG)は、「フォーチュン500」や「S&P 500」にランクされ、ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービスおよび投資顧問会社です(2013年の売上ベース)。全世界に約44,000 人の従業員、350 カ所以上の拠点(系列会社および提携先は除く)を有し、不動産オーナー、投資家、オキュパイアーに対し、幅広いサービスを提供しています。不動産売買・賃貸借の戦略的アドバイスおよび取引業務、コーポレートサービス、プロパティマネジメント、ファシリティマネジメント、プロジェクトマネジメント、事業用不動産ローン、不動産鑑定評価、不動産開発サービス、不動産投資マネジメント、リサーチ・コンサルティングを主要業務としています。詳細につきましては日本国内ホームページwww.cbre.co.jpおよび公式Twitterアカウント:@cbrejapanをご参照ください。
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