3大都市(東京、名古屋、大阪)のいずれも、プライム賃料は前期比横ばい
2017年2月9日、東京 - CBRE(日本本社:東京都千代田区丸の内)は本日、2016年第4四半期(Q4)の路面店舗の市場動向を発表しました。
注目動向
- 2016年の年間訪日外国人数は前年比21.8%増の2,403万9千人で過去最高を更新。5年連続の増加だが、増加率は前年に比べてやや鈍化
- 2016年10-12月期の訪日外国人旅行消費額(速報)は前年同期比1.3%増の8,922億円。同期間の過去最高を記録するも、1人当たりの旅行支出は約14
- 万7千円で前年同期比12.2%の減少 東京、大阪、名古屋の路面店舗市場では、いずれもドラッグストアが需要をけん引
東京(銀座、表参道・原宿、新宿、渋谷)
2016年Q4のプライム賃料(想定成約賃料、共益費込)は、6期連続横ばいの40万円/坪となりました。銀座では、複数階や比較的面積が大きい物件を中心に、テナント退出後の後継テナントの決定に時間がかかるようになっています。表参道・原宿では、情報発信地というエリア特性に注目するテナントの需要が集まり、日本初や旗艦店の出店が引き続き多くみられています。新宿では、他のエリアよりも比較的面積が大きい物件のリーシングが順調に進んでいます。渋谷では、ブランドの認知度向上を考えるテナントの間で、渋谷駅周辺の立地評価がさらに高まっています。
CBREリテール営業統括部シニアディレクターの佐藤顕尚は、「リテーラーは、収益の見通しについてより慎重になっている。そのため、需要はあるものの、エリア、面積、賃料など全ての条件が希望に合わなければ出店に至らないケースもみられる。オーナー側では、内装費用などの初期投資を負担したり、受け入れ業種の幅を広げる必要がありそうだ」とコメントしています。
大阪(心斎橋、梅田)
2016年Q4の大阪のプライム賃料(想定成約賃料、共益費込)は、2期連続横ばいの30万円/坪となりました。心斎橋では、心斎橋筋商店街や道頓堀周辺を中心にドラッグストア同士が競合する事例がみられました。梅田では、好立地の新築物件にテナントの需要が集まりました。一方、駅から少し離れたエリアでは、リーシングに苦戦する事例もみられました。
CBRE関西支社リテール営業統括部シニアディレクターの橋川剛は、「心斎橋筋商店街や道頓堀を中心に、ドラッグストア同志の競合で賃料が上昇しており、スポーツやアパレルなどの他業種が負担できる賃料との乖離が埋まらない。一方、ドラッグストアの営業利益の増加率にはやや一服感が出ている。背景として、中国の越境EC市場が拡大していることや、『コト消費』志向の訪日外国人が増えていることなどが考えられる。そのため、今後のさらなる出店攻勢ならびに賃料の上昇は考えにくい」とコメントしています。
名古屋(栄)
2016年Q4の名古屋のプライム賃料(想定成約賃料、共益費込)は、9期連続横ばいの12万円/坪となりました。栄のハイストリートでは、ドラッグストア同志が競合し賃料が競り上がってテナントが決定した事例がありました。栄エリアには既存のドラッグストアがまだ少なく、近隣オフィスワーカーや国内消費者を対象とした出店需要が集まっています。
CBRE名古屋支店リテール営業統括部シニアディレクターの大上英男は、「ラグジュアリーブランドやスポーツブランド、食物販などの出店意欲も高いが、ドラッグストアの需要の強さは他業種を圧倒している。特に比較的面積が大きく賃料総額が高額となる物件では、出店を検討する業種がドラッグストアに限られている。ただし、栄では、ドラッグストアを含む多くのテナントが収益性を重視した出店計画を立てている。そのため、今後もプライム賃料の上昇余地は限定的だ」とコメントしています。
マーケットの解説詳細は、本日発刊の「ジャパンリテールマーケットビューQ4 2016」または弊社ホームページ上でもご覧頂けます。
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