アジア太平洋地域の持続的な高成長により、今年も不動産投資は好調
2015年2月12日(香港)-CBREは、本日、アジア太平洋地域における2015年の不動産マーケットの見通し(2015 APAC Real Estate Markets Outlook)を発表しました。当レポートは、アジア太平洋地域のオフィス、リテール、物流、投資の各セクターについて取り上げています。
急速な都市化、人口増加、中間層の拡大、家計所得の増大に支えられ、アジア太平洋地域の経済成長は2015年も世界平均を上回る見通しです。オックスフォード・エコノミクスの予測によると、2015年は世界の経済成長率が2.9%であるのに対し、アジア太平洋地域は4.4%の成長が見込まれています。そして、不動産投資市場においても、郊外のショッピングモールや住宅を中心に、優良物件への需要が高まるとCBREは予測しています。CBREの試算では、2015年のアジア太平洋地域の不動産投資額は前年比5%増加し、1,180億米ドルとなる見通しです。
アジア太平洋地域における事業用不動産投資額
*1,000万米ドル以上のオフィス、リテール、物流、ホテル、複合型物件
出典:CBREリサーチ、2015年1月
CBREのアジア太平洋地域リサーチ部門ヘッドのHenry Chinは、アジア太平洋地域の投資マーケットの成長は複数の要因に支えられていると述べています。その要因とは、不動産プライベート・エクイティ・ファンドによる新たな資金調達、域外の機関投資家からの投資の増加、アジア系機関投資家の投資活動の活発化、そして良好なデットファイナンス環境などです。
Chinは次のようにコメントしています。「インフレ率が低下し、ユーロ圏と日本を中心に量的緩和の姿勢が今後も維持されるため、今年も大きな金利上昇圧力を受けるマーケットはほとんどないのではないか。このところのエネルギー価格の急落によっても、短期金利の上昇圧力は弱まっている。最近では、中国、インド、韓国、オーストラリアなどが、景気減速を背景に金利を引き下げた。資金調達コストの更なる低下は、投資家にとって不動産投資の機会の拡大につながるだろう」。
また、「高い流動性と、金利上昇リスクの低下により、プライムアセットを保有するオーナーは価格に対して強気のスタンスを維持しやすくなっている。このような環境下では、オーナーは値引きしてまでアセットを処分するようなことはないだろう」と述べています。
アジア太平洋地域に対する企業や投資家の強気の見方に変化は見られず、これがテナントと投資家双方の堅調な需要につながっています。それらを踏まえ、CBREは以下の通り、2015年のオフィス、リテール、物流の各セクターの賃料と資産価値は約2~4%上昇するものと見込んでいます。
- オフィス:東京、バンガロール、シンガポールの各マーケットに牽引されて、アジア太平洋地域のオフィス賃料は着実に上昇を続けるとみられますが、上昇率は前年の3.6%から3.2%に減速すると予想しています。引き続き企業はコスト抑制を意識し、アジア太平洋地域での事業拡大も慎重な姿勢で進めるでしょう。一方で、企業は長期的なポートフォリオ戦略と職場環境の改善という点を重視しており、立地改善のための移転や、フリーアドレスなどのワークプレイス戦略を検討する企業が増えています。
- リテール:東京の賃料の上昇率は10%とアジア太平洋地域で最も高く、北京と上海がそれに続くと予想しています。ただし、アジア太平洋地域全般では、賃料上昇率は5.4%から2.4%に鈍化する見通しです。出店競争の激化と運営コストの上昇により、アジア太平洋地域のリテーラーは、主要な成長マーケットにおけるプライム立地への出店に注力するでしょう。
- 物流:根強い需要を背景に、2015年は香港、大阪、上海を中心に物流施設の賃料の上昇ペースは加速するでしょう。eコマースの成長、ならびに業務効率化のニーズの高まりを背景に、ほぼ全ての市場で物流スペースに対する需要は堅調とみられ、アジア太平洋地域全体の賃料上昇率は2.9%と予測されます。
アジア太平洋地域内の各国の成長率は、引き続きそれぞれの景気動向によって大きく異なってくるでしょう。日本は2015年に入って景気上昇の兆しを見せています。円安がここへきて輸出を後押しする中、鉱工業生産の増加も見込まれ、オフィスとリテールの賃料は更なる上昇が予想されます。日本企業の中には、製造業で国内生産比率を引き上げるなど「国内回帰」の事例がみられ始めており、今後このような動きが本格化するかも注目されます。一方中国では、経済成長率が7%に鈍化しており、政府の経済再編への取り組みを背景に2020年までにさらに5%前後まで下がると予想されます。それでも、企業の進出先として中国マーケットは2015年も引き続き注目されるでしょう。
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