銀座ハイストリートの空室率は1.8%に上昇するも、賃料は11期連続の横ばいの40万円/坪
2018年5月15日、東京 - CBRE(日本本社:東京都千代田区丸の内)は本日、2018年第1四半期(Q1)の路面店舗の市場動向を発表しました。
【注目動向】
- 2018年3月の訪日外国人数は対前年同月比18.2%増の260.8万人で、3月として過去最高を更新。昨年は4月中旬だったイースター休暇が今年は3月末からだったため、欧米豪の市場を中心に訪日需要を押し上げた。
- 2018年3月の全国百貨店売上高は、0.1%増で4カ月ぶりのプラス。免税売上高は対前年同月比48.1%増で過去最高の約290億円。商品別では、化粧品(15.8%増)と高額品(1.7%増)が好調。
- 東京・大阪・名古屋のプライム賃料は、いずれも前期比横ばい。ただし、出店ニーズは昨年秋(2017年Q3)に比べ増加の傾向。
【2019年末までの銀座ハイストリートの賃料予測】
2018年半ばまでに底を打ち、2018年Q4を目処にゆるやかな回復傾向に転じると予想。訪日外国人のさらなる増加に加え、高額品売上の復調が背景。
東京(銀座、表参道・原宿、新宿、渋谷)
2018年Q1のプライム賃料(想定成約賃料、共益費込)は、11期連続横ばいの40万円/坪となりました。銀座では、ハイストリートを中心にラグジュアリーブランドの立地改善のニーズが増えています。表参道・原宿では、好立地の募集物件にオーナー目線の賃料を満たすニーズが集まりました。新宿では、駅に近く比較的面積の大きい複数の物件で、テナントの入れ替わりやアパレルブランドの出店があり、駅周辺の需要が活発にみられました。渋谷では、話題性のある新規出店が複数あったものの、今後の再開発を控えてリテーラーの様子見姿勢は続きそうです。
今期の銀座ハイストリートの空室率は1.8%で対前期比0.3ポイントの上昇となりました。対前年同期比でも1.1ポイント上回っています。ハイストリート賃料は2期連続の横ばいとなりました。
CBREリテール営業統括部ディレクターの奥村眞史は、「昨年秋(2017年Q3)に比べてリテーラーの出店ニーズは増えている。銀座では、業績不振とみられる退店が複数ある一方、面積が小ぶりで使いやすく割安感のある物件では複数のテナントが申し込みを入れる事例もあり、今後、賃料が競り上がる可能性がある。一方で、比較的面積が大きく投資がかさむ物件や、賃料が高額な募集物件の一部では、リーシングが長期化していたり、申し込みを入れたテナントがキャンセルをするなど、出店コストに対して未だ慎重なリテーラーも多い」とコメントしています。
■銀座ハイストリートの空室率*
出所: CBRE
* ハイストリートにおける即入居可能な空室が対象
■銀座ハイストリートの賃料予測*
出所: CBRE
* ハイストリート賃料の上限と下限の平均値
大阪(心斎橋、梅田)
2018年Q1の大阪のプライム賃料(想定成約賃料、共益費込)は、7期連続横ばいの30万円/坪となりました。心斎橋では、インバウンド需要を狙ったドラッグストアや免税品店などの出店ニーズが、長堀通よりも南側の心斎橋筋商店街を中心に引き続きみられました。梅田では、大阪駅から離れた商業施設でリーシングに苦戦している物件がみられています。
CBRE関西支社リテール営業統括部シニアディレクターの橋川剛は、「心斎橋筋商店街を中心としたドラッグストアの出店に一服感がみられる。ただし、好立地に募集が出た場合は、他業態と比較して賃料負担能力が高いドラッグストア同士が競合し、賃料が高騰する可能性がある。また、長堀通以北の御堂筋で日本初の高級ホテル「Wホテル」の開業(2021年2月)が発表されて以降、ホテル出店予定地の周辺への出店ニーズが増えつつある。御堂筋の歩道拡張により人の流れが増えることも予想され、周辺の商業施設で賑わいが増しそうだ」とコメントしています。
名古屋(栄)
2018年Q1の名古屋のプライム賃料(想定成約賃料、共益費込)は、前期比横ばいの14万円/坪となりました。栄エリアでは、業績不振による退店や店舗規模の縮小が複数みられる一方、後継テナントは現行の賃料水準とほぼ同水準で決まっています。そのため、リテーラーによる栄エリアの評価の高さは変わっていないと言えます。
CBRE名古屋支店リテール営業統括部シニアディレクターの大上英男は、「1年ほど前から、インバウンド需要で収益が拡大したドラッグストアの強い出店ニーズが続いた。認知度の向上を目的とした出店もあり、栄のプライム賃料は2017年Q1からの1年間で約17%上昇した。ただし、現状ではドラッグストアの出店が収益性を重視したものに変わってきている。そのため、今後のプライム賃料の上昇は直近1年間に比べて緩やかなものになりそうだ」とコメントしています。
マーケットの解説詳細は、本日発刊の「ジャパンリテールマーケットビューQ1 2018」または弊社ホームページ上でもご覧頂けます。
https://www.cbre.co.jp/research-reports/retail-reports
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