企業の旺盛な出店意欲を背景に、主要都市の空室は希少に
シービーアールイー(日本本社:東京都千代田区丸の内)は本日、東京、大阪および名古屋における2014年第1四半期の路面店舗の市場動向を発表しました。シービーアールイーでは、今後、オフィスや物流セクターに加え、リテールセクターにつきましても、市場動向を四半期ごとに発表いたします。
注目動向
- 高額品や耐久品の販売が好調、駆け込み需要が鮮明に
- 消費者物価指数の上昇と増税による消費者センチメントの低下懸念が浮上
- メインストリートの空室が僅少で、テナントはサブストリートにまで出店候補先を拡大
- 需給バランスが逼迫し賃料は強含み
東京(銀座、表参道・原宿、新宿、渋谷)
東京の主要な店舗マーケットの需給バランスは逼迫した状況が続いています。今期は1月と2月がセール期間という季節要因により新規出店件数は少なかったものの、テナントの各主要エリアへの出店ニーズは引き続き旺盛です。テナントが魅力的と感じるエリアには空室がほとんど存在しないため、メインストリートからサブストリートに需要が滲み出しているエリアが多くみられます。表参道ではメインストリートの周辺エリアに一定の空室が残っていましたが、メインストリートに空室がないために、骨董通りや裏原宿方面に需要が拡大しました。このため、今では表参道エリア全体の空室が希少となっています。その他のエリアでも空室は希少となっており、新たに空室が発生しても、複数テナントの引き合いが生じ、後継テナントは短期間で決定するような状況となっています。主要エリアで予定されている新規供給は少ないため、今後も逼迫した需給バランスが続くでしょう。
昨年来、東京の主要エリアでは建替え・地域再開発などの計画が数多く発表され、順次実施されています。銀座では今後3件の大型計画があり、年内に1棟の大型商業施設が供給される予定となっています。新宿でも年内に2棟供給される予定であり、いずれの施設も店舗区画は既にテナントが決まっているようです。
シービーアールイー 東京リテールサービス部ディレクター 福井志奈は「外資系ブランドは、東京をアジアのハブとして積極展開する都市として認識している。これは、2013年の外資系ブランドの出店ラッシュや今後のオープン予定をみれば一目瞭然だ。しかし、これらの外資系ブランドの受け皿となる物件が不足している。国内外のリテーラーは、候補地をメインストリートからサブストリートに拡大してきているが、需給バランスの逼迫した状況は変わりない。今後、東京オリンピックに向け、日本が注目されることによってスポーツ関連ブランドなどの需要が高まるであろう。様々な再開発計画も浮上しており、今後需要の受け皿が増加すれば東京の店舗マーケットはますます活性化するだろう」とコメントしています。
大阪(心斎橋、梅田)
大阪の主要な店舗マーケットにおいても需給バランスが逼迫した状況が続いています。心斎橋エリアの御堂筋沿いでは、東京に進出し、大阪に未進出の外資系ブランドが参入機会をうかがう動きを強めていますが、受け皿不足により出店できない状況となっています。外資系ブランドは基本的に立地条件が厳しいものの、こうした中、出店候補地をメインストリートからサブストリートや周辺エリアに拡大させる動きもみられています。今後、複数の新規供給が予定されていますが、それでもストック不足の解消は難しく、今後も需給バランスが逼迫した状況が続くでしょう。
2014年は、梅田、心斎橋のいずれのエリアでも新規供給が予定されており、共に話題性の高いテナントの出店が内定しています。こうした動きはエリア全体の集客力の更なる向上につながり、今後のマーケットの活性化に結び付くものとして期待されています。
シービーアールイー 関西リテールサービス部シニアディレクター橋川剛は「大阪には、東京に進出し大阪に未進出の外資系ブランドが多数存在し、こうしたリテーラーの出店意欲は徐々に高まっている。しかし、受け皿不足は深刻である。2014年には新規供給が行われるが、これらの物件もテナントは既に内定済み。受け皿不足の解消は難しく、今後も需給バランスが逼迫した状況が続くだろう」とコメントしています。
名古屋(栄)
名古屋の店舗マーケットの中核である栄エリアでは、アパレルを中心に出店ニーズの多い状況が続いています。同エリアは三越からパルコに至る大津通沿いを中心に路面店舗が展開していますが、その範囲は非常に狭く、テナントの出店候補先が限られ、且つ、その限られた物件に空室がほとんどない状況となっています。そのため、出店候補地を拡大する動きがみられ、伊勢町通沿いを検討するテナントが増えてきています。
2014年は、パルコが商業施設「ゼロゲート」をオープンする予定であり、これを機に大津通から伊勢町通方面への回遊性が高まることが期待されています。
シービーアールイー 名古屋リテールサービス部ディレクター河本納幸は「これまで栄の店舗マーケットは大津通沿いに集中し過ぎたことでエリア全体の広がりを欠いていた。こうした中、テナントが出店候補地を伊勢町通沿いに拡大させてきている。今秋には『ゼロゲート』のオープンを控えており、こうした動きを後押しするであろう。栄への出店ニーズが多い中、受け皿不足の続く状況の解消につながることを期待したい」とコメントしています。
店舗マーケットの動向・見通しの詳細や各都市のマーケットデータは4月25日発刊予定の「ジャパン リテール マーケットビュー Q1 2014」をご覧ください。
CBREについて
CBREグループ(NYSE:CBG)は、「フォーチュン500」や「S&P 500」にランクされ、ロサンゼルスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービスおよび投資顧問会社です(2014年の売上ベース)。全世界で70,000 人を超える従業員、400 カ所以上の拠点(系列会社および提携先は除く)を有し、不動産オーナー、投資家、オキュパイアーに対し、幅広いサービスを提供しています。不動産売買・賃貸借の仲介と戦略的アドバイス、コーポレートサービス、プロパティマネジメント、ファシリティマネジメント、プロジェクトマネジメント、事業用不動産ローン、不動産鑑定評価、不動産開発サービス、不動産投資マネジメント、リサーチ・コンサルティングを主要業務としています。詳細につきましては日本国内ホームページおよび公式
Twitterアカウント: @cbrejapanをご参照ください。
※本文書は貴社の責任と判断で利用いただくものであり、弊社は、貴社又は第三者が本文書に基づいて行われた検討、判断、意思決定及びその結果について法律構成・請求原因の如何を問わず一切の責任を負わないものとします。