首都圏湾岸部の倉庫の低下が顕著。震災後、需要が堅調、投資家も好感
シービーアールイー(日本本社:東京都港区浜松町)は本日、「CBRE Quarterly Survey / Japanese Real Estate Investment(不動産投資に関するアンケート)」の最新調査結果の一部を発表しました。これは、不動産投資家に対して四半期毎に実施しているアンケート調査で、今回は2012年1月に不動産投資に関わる219名を対象に実施し、162名から回答を得て集計したものです。(調査概要は添付PDFをご覧ください)
【注目動向】
- 東京主要部の期待利回りは、前期(2011年10月調査時)比で全体的に低下
- 首都圏湾岸部「倉庫」の期待利回りが、2009年1月の調査開始以来、最も低い値
- CBRE短観(東京のオフィス)では、引き続き多くの投資家が「1年先」のマーケット状況の改善を予測
概要
今期、東京主要部の各セクター(「オフィス」、「賃貸マンション」、「商業」、「ホテル」、「倉庫」)の期待利回り(NOI※1 ベース)は、「ホテル」を除いた全てのセクターにおいて下限値または上限値が5~20bpsの低下ないしは横ばいで推移しました。なかでも、首都圏湾岸部の「倉庫(マルチテナント)」は下限値が10bps、上限値が20bpsの低下、首都圏湾岸部の「倉庫(シングルテナント)」についても、下限値が25bps、上限値が10bps低下しており、調査を開始した2009年1月以来どちらも最も低い値となりました。震災後、湾岸部の液状化リスクを懸念する投資家は多かったものの、被害が限定的だったこともあり、実際にリスク回避によるテナントの内陸部への移転はほとんどみられませんでした。もとより開発用地は限定的であり、震災後も堅調な需要を背景に安定した賃料水準と需給バランスを保持していること、2011年第4四半期に、首都圏の優良な大型物流施設が含まれた大きな売買事例があったことなどが、投資家に好感されたと考えられます。
その他「賃貸マンション(ワンルームタイプ)」も上限値が20bps低下、3期続けて横ばいだった「オフィス」は上限値が10bps低下、5期続けて横ばいだった「商業」も上限値が5bps低下しました。一方で、地方大都市の「オフィス」の期待利回りは、大阪は横ばいだったものの名古屋は下限値が10bps上昇しました。
東京のオフィスビルの「不動産取引量」、「売買取引価格」、「NOI※1」、「期待利回り」、「金融機関の貸出態度」および「投融資取組スタンス」の各項目について尋ねた設問の回答結果(「CBRE短観」、DI※2 として集計)では、現在と比べた「1年先」の状況について、引き続き全ての項目で多くの投資家が改善を予測する結果となりました。しかし、その中でAクラスビルの「NOI」については、改善を予測する投資家の度合いを示すDIが前期比で10ポイント程度低下しています。現時点では、ユーロ圏財務相会合におけるギリシャへの追加支援の合意や、日銀の追加金融緩和の決定と、それに伴う円安基調などにより全般的に投資マインドは好転しておりますが、回答時点においては世界経済の不透明感が払拭されていなかったことから、10月調査時よりも投資家の回答が慎重になったものと思われます。
同時に行った首都圏の大型物流施設の「不動産取引量」、「売買取引価格」、「賃料」、「空室率」、「期待利回り」、「金融機関の貸出態度」および「投融資取組スタンス」の各項目について尋ねた設問の回答結果(DIとして集計)では、マルチならびにシングルテナント型において、現在と比べた「1年先」、「2年先」の「不動産取引量」の増加、「売買取引価格」の上昇に大きな期待感がみられました。また、ファンダメンタルを表す「賃料」、「空室率」については、現状よりもよくなるとみる投資家が僅かながら多い結果となりました。
※1 NOI:減価償却前、税引前の純収益。不動産より得られる総収入から総費用(減価償却費を除く)を控除した額。
※2 DI:設問項目について、拡大(上昇)を示す回答者の回答割合(%)から、縮小(低下)を示す回答者の回答割合(%)を引いた指数。DIがゼロを超えると、拡大(上昇)と答えた回答者の方が縮小(低下)と答えた回答者より多いことになる。
詳しくは詳細レポートをご覧ください。
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